←2003

2003.04.30

 どしゃどしゃと雨の降る天気だが、昨日の悩みは昨日に置いていくことにして、今日はぼちぼち次回「龍」のプロットを練る.〆切が迫っていないようなときに、ぼんやり漂っていたものを捕まえて筋を立てていくのはなかなか楽しい.もちろんするするっとはいかないで、あっちにぶつかりこっちにぶつかりだけど、せっぱ詰まってないから、こじれたらほっておいて本を読んだりして、またぽちぽち書いてみる.新しいキャラを考えて、悪役のつもりだったけど、ライバル的な位置づけになって準レギュラーというのもいいなあ、などと.
 結局自分はこういう仕事が好きで、その好きなことでお金をもらってご飯が食べられるっていうのは、なんて幸せなことなんでしょう.もちろん、もっと楽でもっと儲かったらいいなあとか、あと20歳若かったらなあとか、あと20センチ身長が高かったらなあとか、美人で近眼じゃなければなあとか、思わないでもないけど「まあいいか」というくらいには幸せです.つきつめて考えるほど頭良くないし.
 そんなわけで、いまのところは篠田はこのまま生きていけます.みなさんのおかげで.だからこれからも見捨てないでね.

2003.04.29

 まんざら縁がないわけでもない女性が自殺したというのを聞いて、一日ダークな気分で過ごしてしまう.その人はサイトに日記を公開していて、最後にそこに遺書を書いて死んだようなのだ.その日記を読んでいた人は、自殺を考えたりおびえたりしながら毎日を過ごすその記述を、半信半疑でいたらしい.そうしたらフィクションでなかった、というわけ.
 死にたいと思ったことがないわけではないが、いまはどんなに絶望的な状況になっても踏みとどまろうと思うのは、ひとつには残された人間がさぞかし嫌な気持ちになるだろうということがわかったからだ.逆の意味、嫌な思いをさせたくないという人がひとりもいなくなって、逆に嫌な気分にしてやりたい人間ばかりだったら、自殺というのは究極の嫌がらせの手段だ.もっともたぶん死ぬときっていうのは、生き残る他人のことなんか考えなくなっているんだろうけどね.
 死のうとする人に手をさしのべられれば助けられるのか、生きる力を失った人はどうしたって助けられないのか、これもたぶん白黒つけられるような問いではないのだろう.私の小説を読んで勇気が出て、悩みを相手にぶつけることができて状況が改善された、自殺したかったけど踏みとどまれました、というお便りをいただいたことがあるが、たぶんそういう人はちょっとしたきっかけで苦境を打破できる力を自分の中に持っていたので、所詮小説なんてものは、ちょっとしたきっかけ以上のものにはなり得ない.でも、そんなものにでもなり得たというのは、実はすごいことで、そのすごいことをさせてくれたのは読者さんたちなんです.
 それを思えば篠田真由美は、自殺なんて絶対にできないよね.読者を裏切ることになるものね.私が例えばこの先愛する人を亡くして、友達すべて失って、仕事ができなくなって、絶望したとしても、自殺という方法で自分の人生にけりをつけてしまったら、それは読者に対する裏切りで、同時に自分の人生に対する裏切りなんだよね.
 うちは毎日新聞なんで、肝臓ガンで死んだ新聞記者が死んでいく自分を見つめて記事にした「生きるものの記録」というのを読んでました.こういうのを「お涙ちょうだいだ」とか「病気を売り物にしている」とかいう人はきっといると思うけど、死を意識しながら死の瞬間まで生き続けるというのは、たぶん人間にしかできない優れて人間的な行為だと思います.病んでいなくとも私たち人間は、逃れがたい死に向かって生きているわけで、でも生きているからにはより良く生きたいね.死にたいなんて思わないで、毎日毎日を大切に、みんながんばろうね.

2003.04.28

 自宅の近くで藤の花が咲き出している.藤棚に作ってあるような藤ではなく、山の木にからんで咲いている藤.新緑に混じる薄紫は実に美しい.「たけくらべ」の一節が思い浮かぶ.
 今日は気晴らしと旅行用買い物を兼ねて東京へ.フィルムも買いたかったが、荷物が多くで今日は断念.冷えたビールをいっぱいやってほっと一息.

 通販の到着は終わったようだが、結局四人分残ってしまった.もう締め切っていいですか? って、ここを読んでくれている人は、もうみんな出してくれたと思うのですが.いただいた小為替は郵便局で換金しないとならないので、どうせならまとめて終わらせたいし、という感じなのですよ.いらないならいらないっていってくださいねー.

2003.04.27

 やはり疲労がたまっているのだろう、どうも体調が悪い.眠りが足りないのに眠れないのだ.奥田さんの解説に手を入れて一応完成.ご本人に添付して見てもらうことにする.
 午後講談社ミステリランドの担当者より電話.書き上げた作品に好意的なOKをもらい、心からほっとする.しかし「ゲラ、トルコに持っていきますか」といわれてちょっと複雑な気分.まあ、今回はほとんどイスタンブールに滞在して、今年後半の仕事の構想を練るつもりだったのだが、ガイドブックを見ているとあちこち行きたい気もして.
 体調が悪いくせに、『龍』の次回のことなんかがしきりと頭をよぎる.タイトルが決まったら、一気にわあっと流れ出しそう.だが、少し休まなくては.卵を産みすぎて早死にした文鳥、なんてのを思い浮かべてしまう.早死にというほど若くはないけどさ.

2003.04.26

 昨夜なぜか不眠症になり、ベッドから出て異形コレクションの奥田哲也作品を拾い読み.それでも眠くならないので『霧枯れの街殺人事件』に続き『三重殺』も読了.しかしかなりこみいったプロットだったので、ちゃんと理解しているか自分でも不安.
 結局四時寝の七時起き.続いて『絵の中の殺人』読了.少し解説を書いてみる.そこへ奥田さんから送っていただいた、未完短編のコピーや古本屋で入手できなかった単行本が届く.立風書房の『赤い柩』はてっきり吸血鬼ものの長編ホラーだと思っていたら、ミステリだったのであわてて読む.これは一番新本格っぽい、素人探偵の推理が決めてとなるミステリだった.他の短編も、デビュー作メインに目を通す.
 夜になって一応解説最後まで書き上げる.今日は眠れるかな.

2003.04.25

 『魔女』の手直し.昼過ぎようやく終えて送稿.銀行へトルコ行きの航空券支払い.戻って昼食を食べて買ってきたマンガや本を読み、夜までだらだら.疲労感で全身が重い.動きたくない.
 奥田哲也さんの解説のために彼の作品を再読中.しかしいつも解説というのは、悩むなあ.
 なんとなく、中島みゆきの「ファイト」の歌詞が浮かぶ.決して中島みゆきのファンではないのだが「戦う君の歌を戦わないやつらが笑うだろうファイト」.要するに自分にがんばれってことね.

 通販1件到着.あと残り4件.最後になるのは何番でしょう.登場人物と似た名前の16番さんはどうしたのかあ.

2003.04.24

 『魔女』のあとがきを書く.これは「わたしが子供だったころ」という統一テーマのエッセイを書かないとならない.しかし、あんまり楽しい子供時代でもなかったので、書くことにかなり困る.その後直し始め.気になったラストを一度直してから、頭から読み直し始めると、回収していない伏線があったり、一人称の不統一があったり.それくらいなら直せるが、「設定が強引すぎないか」といった悪魔のささやきが聞こえてきて悶々.

 ラジオドラマになる『聖杯伝説』の脚本が送られてきた.とても読む気がしない.つまりこれはプロット貸しと考えるしかないんだよな.小説というのはプロット以上に文章、ことばです.「歌語り」を「語り部」としたら、それはもう別のものなんだ.

 通販2件到着.あと5件.四月中にゼロになるかならぬか.

2003.04.23

 午前中『魔女の死んだ家』234頁で一応脱稿.しかし頭を冷やしていると、また少し書き足したい感じがしてきてしまう.
 講談社ノベルスの担当が来て『angels』を校了.一日で脱稿と校了が重なったのは初めてだ.
 午後はたまっていた通販5件を片づけて、ペーパーを作ってコピー.夕方奥田さんのミステリを探しに古本屋へ行く.今日はいささか虚脱している.
 小説ノン五月号到着.恩田陸さんとビールのグラス片手にした「見るからにのんべ」の写真つき.笑ってやってください.

2003.04.22

 昨日2件通販の申し込みが届いていたのだが、仕事優先ということで後回しにさせてもらった.今日も3件.しかし申し訳ないが、明日もそっちをやっている暇はない.今日はこれから残業で『angels』の再校ゲラ校閲入りをチェックする.明日の昼に担当が取りに来てしまうのだ.こうなるともう、直したい欲望を我慢する方が大事である.まったく、10年やっても未熟だなー、とばかり思ってしまって.
 『魔女』は今日で224頁.わはは.全然頁の予想当たらないじゃん.でもまあタネアカシはほぼ終わったので、後はきれいにまとめて終えるだけ.
 これが終わったら少しは旅行の用意、ガイドブックは行きの飛行機で読むとして、持っていくお金くらいは考えないとな.それから奥田哲也さんの文庫解説の仕事が来てしまい、〆切は帰国後なんだけど、できれば行く前に目鼻を付けておきたい.おっと、5/4の有明イベントで配るペーパーを作らなくては.突発で番外編掌編を書いてしまったので、ご希望の方にお分けしたいけど、いまはとってもそんな時間ないよー.新しいペーパーをご希望の方はいつもの住所へお便りを.でも返事は六月になります、あしからず.

2003.04.20

 日記は休みの予定だったが、明日も帰りが遅くなることがわかったので、簡単に.といっても仕事しかしていない.皆川先生文庫の解説のゲラを戻し、『魔女』を続ける.180頁を突破した.たぶん200か210くらいで終わるだろう.って、ほんと頁の予想はあてにならないんだけど.

2003.04.19

 昨日東京創元社の六月刊行新雑誌「ミステリーズ」に寄稿した短編のゲラが来て、今日戻す.今日はたぶん六月に東京創元社から出る皆川博子先生の文庫『彼方の微笑』の解説ゲラが来る.お願いだからこれからは、催促しない前に送ってね.

 今日は上記ゲラと、『angels』のゲラもようやく最後まで通読.あきらめ悪くあちこちいじりまわす.『魔女』はやっと163頁.イラストも決まったのだから、がんばらなくては.

 昨日通販番号、こちらの読み違えと控え間違えでした.昨日来て今朝投函したのは22と40の方.今日は60が届く.明日は日曜なのでお休みですね.
 日記も一日休みます.仕事はしてますけど、帰りが遅くなるので.

2003.04.18

 今日はひとついいニュースが.現在執筆中の講談社ミステリランド『魔女の死んだ家』はイラストが入るのだが、誰にお願いしたら良かろう、という問題があった.で、篠田が以前からファンで、手に入る単行本は全部買っている漫画家さんに頼んでもらったところ、快く承諾いただけたのである.ああうれしい.がんばらなくては.その漫画家さんとは、『雨柳堂夢咄』の波津彬子さんであります.

 仕事場の近所の空き地にタンポポが満開.篠田はこの花が好きです.で、五月のイベントで配るペーパーに掌編を書こうとしたのだが、入りきらない.うーむ、別刷りにするか.

 今日も通販が二件着たのだが、番号が22と49.ノートを見たらその番号、すでに来ているのですよ.字が下手で読み違えられたかしらん.明日残りのハガキを点検してみるより無い.

2003.04.17

 本日の通販到着48番おひとり.楽しいお便りをありがとう.未申し込みも20冊を切りました.どうか今月中にみんな届きますように.

 『魔女』144頁まで.いよいよ畳みにかかるところである.200頁少々で終わればいいのだが、ほんとページ数の読みができない.それってプロ失格??

 『angels』の再校ゲラが来たので読み始める.しかしなぜか章頭の空きが、これまでのノベルスと一行違っている事が判明.それと参考文献表をつけたかつけないか不安になってくる.ゲラに入っていないのだ.この期に及んでいろいろあること.まったくもうっ.

2003.04.16

 通販今日は08.61.74到着.最近はいいペース.いよいよ10番台は16番のみ、20番台は21と27となった.これなら五月の有明ではめでたく売り物無しになれるであろう.ここで番号を書いた方には、原則として翌日午前中に投函しています.10年目プロジェクトもいよいよ最終段階なので、きれいに終わりたいと思っています.ご協力よろしくお願いします.五月には新しいペーパーを発行するつもりですが、月中から旅行に出るので、一斉配布はちっょとこの時期は無理です.トルコ旅行記を書いて夏前にでもお礼の意味を込めてお送りしたいと思いますが、なんかほんとに仕事がきつくて、延びてしまったらごめんなさい.

 『魔女』本日で124頁目.担当編集Uさんと電話でお話.尊敬する恩人のような編集者さんなので、元気づけられる気持ちがする.

 ネット注文の古本屋、システムは店によっていろいろで、ほとんどの場合少額の本は書籍小包で後払いのかたちで送ってくれるのだが、一番安い250円の文庫本一冊を九州の古本屋から入手するのに、先払いしてくれというので銀行へ.250円ぷらす消費税12円ぷらす送料160円ぷらす振込手数料210円、というわけで倍を軽く越えて632円という金額になった.こりゃ、よほど欲しいものでないと変えないや.

2003.04.15

 本日4番と65番到着.4番さんはもうあきらめていただけに、嬉しいというよりほっとしています.来月になって旅行中に届いたりしたらまずいなあと思っていたので.お便りは決して強制ではありません.「よろしくお願いします」のメモ一枚でも、なにもないよりはずっと感じよく受け取れます.手紙で悩んでいる人は、取り敢えず今回は気になさらずに.これが片づかないと、おちおち旅にも出られないので.

 仕事はひたすら『魔女』.しかし完成にはほど遠く迷いっぱなし.おかげで日記のネタがない.
 駅前まで買い物に行くくらいしか出られないので、「日本の古本屋」というサイトで検索をかけて、前から探している皆川博子先生の絶版本を購入することにした.いろんな古本屋をネットでつないでいるので、送金も受け取りも全部別々というわけで、けっこうめんどくさいのだが、自分で行ける本屋の範囲は限られているし、というわけで持っていないのは片っ端から注文してしまう.250円の文庫も送料と送金手数料を入れると倍近くなってしまうのだが、それもやむなし.しかし本代がますます増えそうだなあ.自分で本屋に行って買うのは、持ち帰るのが重いから、というような理由でブレーキがかかるんだけど.

2003.04.14

 通販33,42,62到着.4や8や16はもう届かないと考えるしかないなあ.まあ、今月いっぱいは待つけれど.

 午後講談社ノベルス担当来訪、『angels』のゲラを渡す.再校は23で24戻し、とかなりきびしい.夕方になって『魔女』の続きを再開.昨日はジャーロの連載の第一回〆切が決まったし、今日は「桜井京介館を行く」の第三回取材日程を決める.気がついてみると、なんかめちゃめちゃ忙しい.にもかかわらず三週間も旅行するって、ずいぶん大胆だなと自分であきれる.

 昨日の盗作問題のことだけど、もう少し付け加える.小説の「盗作」というのは、文章を丸写しにするとか、特殊で独自性のあるアイディアを盗用するとかの場合に使うべきことばであって、「劣化コピー」に使うのは適当ではないと思う.物語の外枠がなんとなく似ている、という程度のことを「盗作」というのはちょっとおかしい.盗作でなくても駄作だ、ということはいくらでもある.刺激的なレッテル張りに飛びつくのは、批判そのものの信憑性を下げてしまう.ついでに「盗作」と「経歴詐称」と「ブス」とは、分けるべきでしょ.いくら人間的に低劣ではた迷惑な人物でも、叩いていいことにはならない.

2003.04.13

 昨日の三通は投函.番号のない人は保留.本格ミステリ作家クラブの執行会議に出席.昨日よく眠れなかったので、頭がぼーっとしてどうもならず.思考能力ゼロ.

 うっかり妙な本を読んでしまう.直木賞候補にもなった某作家が盗作者である、ということを延々口汚く語っている本.篠田は対象になっている作家の文章はひとつも読んでいないのだが、「盗作」なるものの定義の狂いが気になった.小説のネタを他人のサイト日記やノンフィクション本からいただくのは、盗作とはいわない.利用した資料についてどこにも断りを書かなかった、というのは行儀が悪い、利用した相手に対して無礼な話だが、小説は学術論文ではないので、罪状がいささか異なる.資料が全然消化されていなくて丸出しだ、というのは、へたくそな小説家だ、ということで、盗作というのとはちょっと意味が違う.
 そういうへたくそでつまらない小説が、一部の馬鹿な評論家などに絶賛されて、直木賞候補にもなって、作者がたくさんお金をもうけていて腹が立つ、という気持ちもわからないではないが、それは正義の鉄拳ではなく公憤でもなくただのねたみそねみやっかみである.どちらも醜い.自分たちのしていることがあたかも正義であるような口調がある分、告発者の方が醜さは大きい.すぐに古本屋行きの箱にたたき込もうかと思ったが、人間の醜さの一例として保管することにする.

2003.04.12

 今日は通販の到着報告だけ.26.36.73.遅くとも月曜の午前中には投函します.
それから受付番号が書いていない人がいた.山形県酒田市のSさん、非常に困ります.こういう人は後回し.

2003.04.10

 『魔女』100頁.これで一応前半が終わった.
 
 バクダットは陥落したもよう.戦争が長引くのは悲惨で嫌だけど、これでブッシュがでかい顔をするのはすごく嫌だ.

 金曜土曜仕事を休みます.日記の更新は日曜まで休み.でも通販の申し込みが届いたらその番号は土曜日に書くつもり.今日は一件もなし.なかなか片づかないものであります.

2003.04.09

 『angels』のゲラを見る.校閲の鉛筆にいらいらしながら.それから『魔女』の続き.
 通販09番17番到着.あと届いてない人28名.

 昨日の続きでトルコのことをちょっと.イスラム教国では肌を露出することを嫌います.男性も女性も.イスタンブールのような都会であっても、モスクなどイスラム教関連の施設に入場するときは、必ず長袖で、短パンも不可.髪をおおうことを求められる場合もあるので、スカーフを一枚持っていると便利.
 それから、そういう社会であるということは、腕を露出しているだけで男性にははなはだ刺激が強いということです.痴漢されるのは女が刺激するから、というのはポルノだらけの日本ではナンセンスかつ差別的な論理ですが、イスラム国の場合はこれが当てはまることもある.現地の人に不快感を与えないよう、マナーを守る礼儀正しいツーリストであるよう心がけましょう.

2003.04.08

 ちゃんと目が覚めていないような感じに、一日中頭がぼけている.
 通販の本日到着は13.35.47.52番.すでに半分は超したので、今月いっぱい待って来ないものについては要らないと解釈させてもらうことにする.
 トルコのことについてお便りで質問があったのでちょっと.篠田はこれまで二度トルコに行ったことがあります.お勧めの場所を、と尋ねられたのですが、その人がなにに興味のある、どんなタイプの旅が好きな方かわからなかったので、答えに困ります.歴史の好きな方ならイスタンブール、アンカラ、地中海岸のエフェソスなどがおもしろいでしょう.カッパドキアでキリスト教の洞窟壁画などを見るなら、ガイドが必要なのでツアーに参加する必要があります.
 それからトルコは親日的で感じが良い国ですが、イスラム教徒の国であるのも事実なので、女性のひとり旅は節度を持って行動しましょう.日本でのようにフランクな態度は、トルコ男性の誤解を招く場合があります.それはこちらが悪いのですから.郷に入っては郷に従え、です.

2003.04.07

 54頁まで.どうも調子が出ない.少しお花見.
 通販本日の到着、21 28 51 66

2003.04.06

 日記に「風邪をひいた」と書いたら、友人から「お粥は食べたか」とメールが来た.うちの連れ合いは「風邪ならお粥だっ」ではなく「風邪ならニンニクだっ」の人なので、今朝は焼きニンニクをたっぷり食べさせられた.心なしか咳が少なくなった気がする.ほんとかよ.いや、プラシーボ効果も馬鹿にはならん.

 『魔女』今日は42頁まで.今月中に書き上げないと旅行の支度をする暇が無くなる.我ながら尻に火がついている.いや、もちろん自分でつけたんだよ.

2003.04.05

 週末は花見かという感じだったのに、今日はやたらと冷たい雨.頭痛は過ぎ、消化器の方も回復しつつあるものの、鼻が詰まって咳が出る.わけのわからない風邪である.やっと『魔女の死んだ家』本格着手.26頁まで.しばらく真面目に働こう.

 舞城王太郎の新作『九十九十九』読了.清涼院流水のJDCシリーズの設定を借りてというよりは、もじって解体してメタにして批評して見立て講義をやって新手の見立て殺人もやってちゃんと小説としての落ちもつけて、というとんでもない小説.しかも鬼畜にしてハートウォーム、肉親間は暴力の嵐でもほのぼの、という舞城節は健在.ただ、好き嫌いはあるだろうから誰にでも勧められる、というものではない.

 今日も通販三件、12番46番68番ありがとうございます、明日出します.それから感想のお便りに返事を出す時間がないので、ここでちらっと.千歳のリコさん、篠田はもちろんホワイト・ハートの『エッジ』の読者です.日記でも触れましたよ.三月にいっしょに大阪まで知り合いの結婚式に行ったので、新幹線の中で「早く続きを書け〜」と尻を叩いて置きました.松本のハルキさん、身体の方はだいじょうぶですか.寒い時期の失業は辛いですね.篠田は必ず勤めを辞めるとき、春にしたものです.お金がなくて公園で時間潰したり、バイトニュース読むのに寒いと嫌じゃないすか.でも若いんだから心配いらない.あきらめなかったら絶対どうにかなるって.
 と、人も我も鼓舞しつつ、今日は終わる.寒いんだよっ.

2003.04.04

 たばこは吸えなくてもせめて茶店でコーヒーを飲んで力を入れようと思ったが、銀行で咳をしていたらどうも周囲の目が冷たい.いえ、香港は行ってないんですけど〜
 仕方なくサンドイッチを買って帰宅.しかし大食らいの篠田が、アンデルセンのサンドイッチ半パック食べたらもういっぱい.駄目だなあ.全然駄目.
 ミステリランドのイラスト候補.常々ファンであった漫画家さんに駄目元で頼んでもらうことにしてU編集に連絡.すると「なにもないと頼みづらいから梗概を書いてね」とまことにもっともなお返事が来て、寝てもいられない.というわけであらすじをごく簡単に書く.その余勢を駆って少し書いてみる.まだ動き出したとはいえないが.

 毎日書きます.すみませんが受付番号を差し上げた方、お申し込みを急いでください.61番からの方にはまだ一週間くらいしか経ってないので、急かすのは失礼かと思うのですが、三月半ば以前にお送りした方でも、届いていない人が多いです.最終的に届かなかったら、お断りのハガキの一枚も出さないとまずいだろうし、それがまた行き違いになったりしたら大変じゃないですか.三刷り分は印刷代だけで600円越しているので、そこまでやったら赤字です.かといって売れるかどうかわからないものを、何十冊も在庫抱えているわけにはいかないんです.篠田、金持ちではないんですから.十冊単位で残るなら五月のイベントで裁いてしまいたいんです.気が変わったからもういらないというなら、あるいは都合で申し込みが遅れるという場合も、ハガキ一枚お知らせの住所に送って下さい.

2003.04.03

 突然日記を休んで申し訳ない.2日の早朝突然激しい頭痛で目が覚めて眠れなくなり、そのまま丸二日ダウンしていた.頭痛が収まってくると少し咳が出始め、風邪だったのかと解った次第.そして胃腸が痛むわけではないのに、ばったりと食欲が消え失せてなにも食べる気になれず.こういうのも珍しい.おかげで休肝日にもなった.
 今日はだいぶ快復したものの仕事をする気になれず、橋本治の『ひらがな日本美術史』を抜かし読みしていた.日本美術というのは篠田の中では興味の盲点で、一時凝った仏教美術以外はさっぱり知識もない.そういうテーマを面白く読ませるというのは至難の技だが、やはり橋本治は面白かった.

 繰り返しになりますがトリ・ブラプレゼントはすでに締め切っています.それから受付番号を受け取った方のお申し込みをお待ちしています.最初の七通は確か三月初旬に投函したはずなんですが、4番さんがまだ届いていないですね.お申し込みいただかないと、他の人に回してしまいますよ.

2003.04.01

 午前中、本格ミステリ作家クラブの評論賞の選評を書く.まったくもって、言い訳みたいな文章にしかならない.実のところ篠田は、決して本格書きではないんだなあと、いまさらのように痛感.篠田は「本格も書き」である.根の所にあるのはミステリ以上に伝奇だし.
 午後祥伝社の担当が来訪.その場でゲラを見る.今回は過去篇なので、レギュラーのライルと透子があんまり出ない.だがどうもファンの声はこのふたりに集まっているようなので、短い書き下ろしで透子とライルが出る話を書いた.次回はまた現代編にいたします.特に日本の昔の話は、出ない漢字があるしルビがたくさんだし、で、ちょっとこりごりしてしまって.
 担当が帰ってから『angels』の巻頭につける教室配置図を作製.あとは校内の配置図が完成すればよし.

 今日は14番さん到着.深春ファンだが、そういうと友人の反応が微妙です、とのこと.はてな.篠田は彼がとても好きですよ.『月蝕』のバイクで登場するシーンなんか、書いていて楽しくてたまりませんでした.よくぞ来てくれた、という感じで.

 最後にお勧め本一冊.山本夏彦『世は〆切』文春文庫514円.文庫だし、どれか一冊読んでみようかというなら、ぜひこれを手にしてみてほしい.著者は天才的なコピーライターだった.タイトルの解釈は読者の自由だが、篠田は「人生にも〆切があるんだぜ」というほどの意味で受け取っている.そう、時間は無限にないということを、痛切に感じ始める歳ですよ、50歳目前というのは.