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2002.03.31

 一夜明けて解散.モスバーガで朝食の後みんなと分かれて池袋.まだ買っていなかった蘇部さんの『六とん』文庫版を購入するために、まだ開いていないデパートの開店を待つ.例によって売り場をぐるっとして、建築書まで行って、また建築本、今回は近代日本の住宅史と民家の歴史までふくめた住宅史.『綺羅』の移築民家については、もう少し説明と描写が必要だと思ったので.さあ、仕事だ.
 仕事場に戻って昼.一睡もしていないので、いい加減眠らなくては仕事の出来る状態でないのだが、こういうときはほんと眠りにくい.入浴、昼食、缶ビール.ついで、読みかけの『オイディプス』の誘惑から逃れるために、というのは読み出すと確実に寝ることも仕事もできなくなるからね、買ってきたボーイズラブを読むが、これは全然好みでなくて没.
 夕方まで仮眠の後、これも買ってきた中井英夫全集10『黒衣の短歌史』を開く.中井が短歌雑誌編集者時代にデビューさせた歌人中城ふみ子との往復書簡が初めて公開収録されたが、これを読んで目頭が熱くなる.死に行く歌人と編集者の、これはまさしく相聞というべき.

2002.03.30

 さて、MYSCONである.ネットで活動するミステリ愛好者が年に一度開くイベント、ということで、今回が第3回.西澤保彦さんがゲストだというので、出かけていくことにした.他にも作家さんは光原百合さん、蘇部健一さん、浅暮三文さん、喜国雅彦さん、国樹由香さん、大森望さん.興味深いインタビューの後はグループに分かれてゲーム、その後いくつかのは読書会やビデオ鑑賞会など.身体は1つしかないので、『鏡の中は日曜日』の読書会に参加.後は大広間でまったりと歓談して貫徹.こういうときは気分がハイになって、寝たくても寝られないのだ.
 篠田はミステリ・マニアにある種「怖さ」を持っていたのだが、そういうことは全然なくて、自分の娘息子のような歳の人たちの中に入れていただき、とても楽しく遊べました.上記読書会も、とても有意義.篠田には発見多数.スタッフの皆さん、ほんとにありがとう.
 このイベントで考えたことは少なくないので、レポートのようにまとまったものは書けないが、折に触れて日記で書くことになると思う。

2002.03.29

 来る日も来る日も続く長編執筆の途中で、予定を入れてそれまでに何頁とノルマを作るのは、ただ漠然と執筆計画を立てるより明らかに効果的で、たいていそれはクリヤできるんだけど、善し悪しもあって、昨日100頁に到達したら今日はぶったるんでいる.しかしまあ、お友達が仕事場に顔を出してくれるので、ちらかるにも限度があるぜ、な部屋の中をある程度は片づけて、原稿の方はたった4頁.しかし途中で、さる古典落語のタイトルが知りたくなり、ネットで調べたところあるんだなー、そういうサイトが.まったくもって便利すぎる.ついでにお釈迦様が出家するところを描いた仏画の主題名が知りたくなったのだが、こっちは時間切れ.家に戻ればたぶん本で調べられる.
 昨日西澤保彦さんの新刊を戴いたので、明日都内某所でお会いできるから、サインを下さいねとメール.しかし読んでもいないでサインだけねだるのも失礼だろうと、読みました.ははー、これはきれいにだまされるね.テイストはブラックですが、読み味は重くない.

 というわけで、明晩はさる集まりに出てまいりますので日記はお休み.ちなみに次の予定は四月第一週の金曜土曜なので、あんまり余裕がない.150頁ということにしておくか、物語の第二ステージに突入、でノルマとするか.ああ、それにしてもまだ死んでないんだよ、これが.『翡翠の城』は真ん中まで事件を起こさなかったけど、あれは過去の事件の話をしているからな.今回も過去の事件ではあるんだが、とにかくレギュラーが多すぎるんだ.読者さんの希望を入れるにもほどがある.

200.03.28

 ひたすら仕事.今回の建築探偵を書くのに、かなり資料調べもしたのだが、結局その成果はほんの数行になってしまう.まあ、そういうもんだとはわかってるるんだけどねー。というわけで、今回やっと100頁、でもまだ事件は起きていない.いいのか、こんなことで.ったってしょーがないだろっ.
 夜は近所の公園で夜桜見つつ酒を飲む.結局全部同居人にやらせてしまった.

2002.03.27

 朝から雨.本の注文をしているアマゾンから、『オイディプス症候群』が一週間以上待ってくれというメールが来ていておいおい。本屋に行く暇がないので頼んでしまったが、それはちょっと。というわけで池袋まで行ってしまう.本が重い.
 水曜日は入間の映画館で1000円で見られる日なので「指輪」を再度見てしまう.欠点は多々あるとして、長所もたくさかあるよ.とりあえずレゴラスが好き.

2002.03.26

 「シリーズ20世紀の記憶」という毎日新聞社のムックを購入.今回の建築探偵で過去の日本の社会状況などが知りたかったのだが、つい目的を忘れて読みふけってしまうくらいにおもしろい.篠田は1953年の生まれだが、六歳程度からはけっこう覚えているものである.しかし同時に町の写真など見ると、「こんなだったっけー」と驚く.
 午前中で第3節が終わり、やれやれしてしまう.やれやれしてる場合じゃないんだけど、目が疲れてきてしぼしぼしてしまうのだ.
 夕刻になってやっと再開.主要人物がぞろっと出る食事場面.いかにも贅沢な料理を並べるのに、うーむうーむと考えつつ、こういうことは好きなんである.必然性を超えて食べ物が良く出るね.おかげでというか、人物像がきっちり見えていなかった主要人物たちもするすると動いてくれた.けっして心温まるようなシーンではなく、むしろ嫌な連中の嫌な場面だが、筆はこういう場合の方が進むのかも.さぼったわりに78頁.
 明日は遅くなるまで仕事場にいるので、たぶん日記の更新はさぼり.これで事件に突入してくれれば、きっと金曜日までに100頁行くでしょう.
 今日も花冷えで花見はお預けなり.

2002.03.25

 やっとこすっとこ71頁.ああ、今日は10頁書けたのか.でも、まだ事件が起こらない.なんだかだんだん遅くなるような気がする.デビュー作は最初に死体がころがってたんだけどなあ.建築探偵は第一作から事件は遅かったんだけど、初心に返って次回はいきなり死体にしようかなあ.んなこといって、いま書いてるのが終わらなかったらどーしよーもないじゃん.
 ところで、仕事中の篠田の服装は悲惨です.もともと着る物にはそんなに気が回らない方なんだが、最近は頭に冷えぴたを貼り付けて書いてる始末.でも、これが意外と利く気がするんだなー.後はコーヒー.そろそろ気温が上がってきたので、また水出しコーヒーのお世話になって.
 あ、それにしても桜が咲いたと思ったら急に気温が低い.夜桜の下でいっぱいやろうと思ったら、厚着をしていかなくては.

2002.03.24

 昨日の夜、これまで書いたところのことを考えていて、もう一度手を加えようという気になり、またまた書き直し.それでようやっと61頁.まだまだ事件は起こらない.伏線ばっかり延々と、しかしまだ主要人物が出てこないので、我ながらちょっと嫌になる.
 ああ、案の定今日は書きたいことが思い浮かばない.

2002.03.23

 せっぱ詰まらないせいかいまいちのれなくて、ノルマの半分しか進めない.これでは今月中に100はとうてい無理か.今日はやっと最初の舞台になる軽井沢の別荘が登場.そうなったらなったで、またこのちょっと変わった建築を、読者の想像の視野に立たせるにはどう書くべきかなどと迷う.ともあれ54頁.
 ところで、キャラが勝手に動くなどというのは、近頃珍しくもない言説で、篠田もどこかでそういうことをいったかも知れないが、最近そういうのは恥ずかしいよな、などと思うようになった.別に恥ずかしがらなくてもいいのだが、そういうことをいうとき、意識せずともなぜか得意らしく、自慢がましくそういっている気がして、「自慢するようなことじゃないよなあ」などと思うのである.
 今日も書いていて、その少し前までは書こうと思っていなかったせりふを、ひとりのキャラが口にした.しかし、そのせりふはやはりストーリーのメインとは関係ないせりふである.脱線するとまた話が進まないではないか、と気になるのだ.レギュラーたちの物語と、各巻のミステリと、そのあたりの調和に悩んでいる.人形みたいな登場人物の動き回るゲーム小説を書きたいとは思わないが、それでも篠田はミステリを書いているのだ.書くつもりなのだ.

2002.03.22

 仕事の最中は新しい本は読めない.読むと一昨日のように、ずるずる仕事を止めて読みふけってしまう.しかし、なにも読まないではいられない.昔、初めてミステリを書いたとき、『虚無への供物』を読み返しながら書いた.それは頭をミステリ・モードに維持するためのお守りのようなものだった.
 いまはなんだかんだそのときの気分で読む.先日は榎田尤利さんの「魚住君シリーズ」光風社クリスタル文庫を読み返した。これはジャンルで言うとボーイズ・ラブというものの中に入るのだが、そういうものが苦手乃至は嫌いという人にも、お勧めできる作品である.トラウマを負わされたひとりの青年の成長の物語、という根幹は篠田のツボなのだが、何度読んでも泣けるところがひとつあって、これは物語のひとつの転換点ではあるものの、どちらかというと脇のエピソード.しかしこういうところで泣かされると、物書きモードに戻って「ちっ、上手いな」などとつぶやくこともある.「ちっ」は悔しさ半分である.

2002.03.21

 長い原稿を書くときは大抵行きつ戻りつする.調子のいいときは話がたったっと進んで、後で戻って描写や細部を書き足すことが多い.いまのようにいまいち調子が出ないときは、書きすぎた気がして削り、また削りすぎた気がして足したりする.今日は昨日までの原稿を削りつつ書き足し、41頁になった.しかし、もう少し足したいところがあって、どうしようか少し悩んでいる.目標、今月中に100頁.
 今日は河原のそば屋で昼酒を飲んで、三分咲きの桜を眺める.仕事が進まないわりに、まだ遊んでおるではないか.

2002.03.20

 朝から原稿に入るはずが、昨日友人からもらった本を読み出したら、途中で止める気がしなくて、とうと午前中いっぱいかけて読み終えてしまう.止められないほどおもしろいというわけではないのだが、止めるのが面倒で、といったら単に篠田がだらしないだけか.
 午後でやっとこ39頁、ニ章目の終わりだが、すっきりしないのでプリントアウトして見直しすることにする.ともあれこれでやっと、第一幕の舞台に移れるわけだ.

 お知らせ.10000番の切り番をゲットしてくれた方に、近々プレゼントが届きますのでよろしく.次は20000番ですね.それまでちゃんと日記を書き続けないと、と思うといささか責任を感じます.

2002.03.19

 横浜市立美術館に、レオナルドの『白貂を抱く貴婦人』を見に行く.これはやはりいい絵だ.背景の黒塗りは後世の改変だそうで、コンピュータ・グラフィックでいいから、その下にあるという、元の青い陰影のバックをはめてみて欲しいと思った.
 しかし、ミュージアム・ショップで、白貂のぬいぐるみを売っていたのには唖然.

 さて、これで一連のお約束は終わったので、明日からまじに建築探偵に取り組む.そうなるとたぶん、今日は何頁まで進んだ、というくらいしか書くことがなくなってしまうと思うがやむを得ませんね.

2002.03.18

 どうも仕事をしようとすると違う用事が入る.今日はヴェネツィアから送った買い物の荷物が届き、梱包を解いて始末するのがけっこう手間.残念ながら細部にダメージ有り.しかしメール・アドレスがあったので、届いたことと、ちょっと破損があったことを知らせておく.あちらは英語ができたのだが、するするっと文面は書けないから、翻訳ソフトの世話になる.普通の日本語文ではだめで、直訳調の主語も必ず入れた日本語にしないと、ちゃんと訳せないし、例によって関係代名詞のたぐいは語順がおかしくなるのだが、少し手直しして送る.今回は役に立ったというべきか.
 そんなこんなで夕方になってやっと仕事再開.今日はまあまあ進んで、31頁まで来た.後少しでこの章が終わって、そうすると最初の事件の舞台になる軽井沢の別荘が出てくる.今回は再出場のキャラが多いので、できるだけ説明を入れている.わかっている人にはうっとおしいかも知れないが、前回の『月蝕の窓』で、「続けて読んでいる人しかわからないじゃないか」と非難されたもので.

2002.03.17

 どうも体調が思わしくないと思ったら、生理だった.というわけでどうにも身体に力が入らず、「アベラシオン」のゲラだけ終わらせる.建築探偵は夕方になって少しだけ.桜井京介がほとほと頑固者で、いうことを聞いてくれないのにうんざりする.
 別にキャラが勝手に動くとか、そういう意味ではないんで、当初に設定した性格に忠実であろうとすると、ほいほい探偵をしにいくようにはならないということ.じゃあなんでそんな性格にしたんだ.それはたぶん、ほいほいの探偵が好きではなかったからでありましょう.

2002.03.16

 横浜、山手の洋館に増田先生の写真展、昼食を取ってから神奈川近代文学館でトークショウ.実は少し眠かった.あたりはおばさんだらけ.
 予定を三十分以上超過して終わってから、中華街に直行.さすが土曜日人が多い.3度目になる飲茶食べ放題屋で食事.忙しすぎてやや客あしらいが悪い.
 夜は仕事場で泊まりにした.

2002.03.15

 予告通りケーキバイキング.同行した友人はジャンルは別だが同業者なので、仕事の苦労とか、そういったことをくっちゃべりつつ、かなり大量のデザートと、なぜか春巻きや餃子まであった、そのへんを片づける.隣のテーブルに中肉中背のおばさんで、ひとりフード・ファイト状態の人が居た.

 明日は横浜に建築写真展と、建築写真家増田彰久先生、建築史家吉田鋼市先生のトークショウを聞きに行くので、またまたお仕事は休み.たぶん日記の更新も休みます.

2002.03.14

 午後になって講談社からゲラと共に手紙が回送されてくるが、まだ通販の手紙が多数来て困惑.サイトの広告は一月中に撤去したはずなのですが.というわけで、申し訳有りませんが、在庫がないことにはどうしようもない.特に二月以降到着分については、お詫びの手紙を同封して小為替ごとお返しするようになります.

 原稿続行.今日は19頁まで.今回は深春視点なので、前作のようなうじうじはなくて済むと思ったが、いまだに京介は腰を上げない.こういう性格の主人公を自分で書いてしまったので、なんともしかたないのだが、なかなか物語が本題に入れなくて困ります.しかしまあ、筆は進み始めたので、なんとか五月中に脱稿は可能かと、いまから楽観的な予測を立てた篠田、明日は友人とあこがれの「ケーキ・バイキング」.篠田は酒飲みですが、甘いものも結構好きなんです.

2002.03.13

 午前中は連れ合いがスキャナをいじってああだこうだやっているので、気になって仕事にならず、午後は篠田がいじって結局それで日が暮れる.スキャナの方はほぼわかったのだが、100%文字が正しく入るわけではないので、結局テキストを全部見直しながら手直ししなくてはならず、それから翻訳ソフトにかけると、これがどうも.日本語の感覚がおかしくなりそうな、直訳以前のへんてこ文になってしまうのだ.定価85.000円の「ザ・翻訳プロフェッショナル07」、翻訳というのは誇大広告な気がする.
 それにしても、これではとうてい英語の本をかたっぱしから訳して、というわけにはいきそうもない.無駄な投資と時間の無駄だったか.アーメン.

2002.03.12

 『ロード・オブ・ザ・リング』を見に行った.うーんと、よく頑張っているなあ、とは思う.しかし原作が好きすぎると、そこはやはり文句のひとつもいいたくなるのだ.どうしてあのエピソードを削った、とかね.
 出番が増えたキャラ、ボロミア、サルーマン、アルウェン.消されたキャラ、トム・ボンバディル、減らされたキャラ、サムを初めビルボ、フロド以外のホビットたち.ギムリ.やけに長かったのは戦闘シーン.サルーマンの出番が多いのはなんといってもクリストファー・リーの名前の重みか.原作ではあまりいい感じのしなかったボロミアが、見せ場の多い役になっていたのは監督の思い入れかもしれない.
 ガンダルフ、アラゴルン、フロド、ビルボ、レゴラス、とキャラはみんなはまっている.しかしアルウェンはいまいちだし、ガラドリエルは姿こそラファエル前派の美女だが、声がだみごえなんですなー.

 翻訳ソフトとスキャナを買った.しかし設定がうまくないのか、コピーの新聞記事が全然読めなくて翻訳にならない.前途ははなはだ多難なり.まあ、今回は間に合わないだろうな.

2002.03.11

 日記を読んでくれている友人から、サイトで利用できる翻訳ソフトのアドレスを教えてもらったので、さっそく行って、昨日の自分でも訳せないセンテンスを打ち込んでみるが、支離滅裂にしかならない.たぶんこの人の文章は、省略があるのだろうけれど.具体例を持ってくるのを忘れたが、今日は混血という意味で「half chinese」という原文を「0.5中国人」と訳してあった、というのから想像してください.意味はわかるって、これなら別に自分でも分かる.
 半沢氏から日経パソコンの「一万円以下で買える翻訳ソフト」の記事を見せてもらうが、例文翻訳ではほとんどが「Happy Birthday」を「幸せな誕生日」と訳していたりして、パソコンに搭載されていたのと同じ程度.結局ある程度のお金を出すしかないのだろうが、不安なのは出したらだいじょうぶかということだ.
 やはり読んでみたい記事があったので、もう一度タイプから挑戦.じっくり英文を見て、タイプすると、意味の半分くらいは理解できる.それと英文タイプにはずいぶん慣れた.しかし翻訳ソフトはやはりだめ.

 午後になってから、上記今日読んだ記事の内容から、ヒントをもらって『綺羅の柩』を書き出す.もともとプロローグはジム・トンプソン、もちろん名前は変えるが、の失踪から書くつもりだったが、視点をどうするか決まらなかったのだ.とりあえず今日は9頁.

 明日は『指輪物語』を見に行くのでお休み.

 ひとつお知らせ.10000番の切り番を踏んだ方にサイト管理者からプレゼントがあります.篠田からもサイン本を一冊つけます.該当者はメールでお知らせの上、番号の画面のプリントアウトを送ってもらうようになる、と思います.

2002.03.10

 スキャナの読み込みがうまくいかなかったので、頭に来て今日は雑誌のコラム一頁分を手打ちして、翻訳ソフトにかける.結果、ダメだこりゃ.英単語の訳は辞書の一番最初に出てくるのを当てはめているだけで、関係代名詞の係り具合はめちゃめちゃで、つまり直訳にもなっていない.具体例を挙げたいが、仕事場から持ってこなかったので、それは明日.
 評論賞の候補を読み終えて、若島正さんの評論のメインになっていた『そして誰もいなくなった』まで読んでしまう.しかし、評論の賞というのは難しい.去年は『日本ミステリー事典』で、こういう労作はわかりやすいんだけど、若島さんのにしても他の方のにしても、「いいところをついてるなー」という感じはあるんだが、今年の受賞作、といってしまっていいのだろうか、という気持ちがしてしまう.

 とにかく、記事の翻訳はいい加減に断念して、書き出してしまわないとやばいのだ.来週は三日も出かける予定があるし.

2002.03.09

 読みたい本、読まないとまずい本が山のようにある.以前は篠田、講談社文3から送られてくるノベルスの新刊は赤川次郎さんから西村京太郎さんからほとんど全部読んでいたのだが、もはやそれはとうてい無理.いただきものも一部は読むことができない.しかし旅行から帰ってきて、歌野正午さんの『世界の終わり、あるいは始まり』は読了.問題作です.おもしろく読んだけれどラストには意見が分かれるだろう.
 今月の講談社ノベルスもいろいろおもしろそうだが、断念して、マレーシアで入手してきたジム・トンプソン失踪事件関連の記事コピーを読む.英語力がないので、ノイズの向こうから耳を澄ます気分.翻訳ソフトを利用すべくスキャナで取り込みしようとしたがうまくいかず.
 英文との格闘に疲れて、本格ミステリ作家クラブの評論賞候補作品から、若島正さんのクリスティ論を読み出したら、おもしろくて止められなくなってしまった.ああ、先が思いやられる.でも来週は、いろいろ予定があるのだ.「指輪物語」も見に行くし、念願のケーキバイキングも.って、五十近くなって食い気ばかりではないか.

2002.03.08

 ご無沙汰いたしました.バンコク帰りの篠田です.昨日は夜の七時半頃には成田空港から出ていたのですが、自宅に帰り着いたのは11時過ぎ.というわけで、本日からまた仕事日誌を再開いたします.
 その前にバンコク報告を少々.

 その1 バンコクはやっぱり暑かった.シャツから塩をふいたのは久しぶり.もっとも極暑は来月だそうです.
 その2 バンコクは旅しやすくなった.タイ語ができず、複雑怪奇なバス路線を乗りこなせない、かといってタクシーは渋滞にはまりそう、トゥクトゥクという三輪タクシーはぼられるのが嫌、という旅行者に、遥か頭上を走るスカイトレインが威力を発揮します.
 その3 バンコクは美味しい.それも熱気に耐えられれば道ばたの安い店で食べるのが実にうまい.牛肉とつみれ入りの汁そば75円、鶏肉のせご飯スープ付き120円、エビ入りやきそば150円、ジューシーなマンゴーがひとつ50円.
 その4 南国の気候はしんどいが、花は咲き空は青く寺院は輝きバンコクは美しい.

 朝から洗濯と荷物の整理、おみやげの発送、メールの返事書き.なんと関ミス連からゲストのお誘いが来てびっくり.関ミス連というのは関西ミステリサークル連合とかなんとかいうもので、新本格の開祖綾辻行人様を初め、多くの作家を生んだ関西圏の大学のミステリ・サークルに所属する鬼のようなミステリ・マニアがたくさんいる、らしい.へたなことをしゃべると熱いたこ焼きが跳んでくる、わけあない.
 講談社の担当から電話.徳間書店の担当からも電話.「わるくちぞうごん」はやはり篠田の見間違いではなかった.やれやれ.
 美しい写真を満載したタイの写真集なんかも買ってきて、いよいよ仕事にかからなくてはなりませぬ.六月は関ミス連もあることだし、さあ、あこがれのたこ焼きを楽しみに、せっせと原稿書くぞおっ.