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2002.01.31

 マンガ家秋月杏子さんと、パーティが始まる前に遊ぶ.下北沢の某所でナチス・グッズなど見て、例の髑髏指輪の複製がかなり欲しかったが、22.000円というのはやはり高いと思って断念.親衛隊将校の短剣もあって、これが6980円だがややちゃっちい.小説の小道具に使うのなら、手元にあった方がいいともいえるのだが、仕事が終わった後にそういうものを飾る気もせず、迷ったが結局今回はどちらも見合わせる.
 その後目黒でアジア物の家具や雑貨を扱っているセンスのいい店に行き、中国のアンティークなランチ・ボックスを衝動買い.磁器が蓋にはめ込まれた漆塗りでなかなか渋いのである.家具類も驚くほど安いが、すでに置く場所はない.
 夜は角川のパーティで食べ過ぎる.

2002.01.30

 一日休むと困るのは、書きかけた小説の続きがわからなくなること.なにもかも忘れてしまうというわけじゃあないが、「ああして、こうして、ジャン、という感じで節が切れて、その後は次の節で回想にして」というような算段が頭から消えてしまう.というわけで手直ししつつ今日は112枚まで.
 学研で文庫に入る『ルチフェロ』の表紙ができてきたが、あんまり篠田的には好きな感じでないのでちょっとがっくり.
 明日は角川のパーティ、明後日は「ブルー・ハート ブルー・スカイ」の漫画化のため舞台の取材に付き合うので、戻りは2/1の夕刻になる.というわけで日記は明日はお休み.
 しかしここにきてまたヒット数が増えた.もとかすると『活字倶楽部』のアンケートにアドレスを載せたおかげだろうか.

2002.01.29

 朝耳鼻科の医者、その後ジム、戻って着替えて東京の旅行会社に.三月建築探偵の追加取材で再度バンコクに行く.かなりせわしいがいたしかたない.
 その後京橋から銀座まで歩く.篠田のような古い建築好きには嬉しい町並み.愛するビヤホール、ピルゼンが閉店してしまったので、いたしかたなく銀座ライオンへ.これも昭和初期に建てられたライト風建築で、ビールは美味だが料理がいかんせんいまいちである.
 帰ると角川から小包.解説を書いたスニーカー文庫の『アクアリウムの夜』.これを機会にこの作品に触れる青少年が多数居てくれればよいのだが.ヤング・アダルト向けの学園ホラーとしても十分楽しめる.あえて解説では触れなかったが、作者の仕掛けはその先にあるので、つまり幾重にも楽しめる小説です.
 もうひとつの小包は建築探偵のコミック『桜闇』表題作と「塔の中の姫君」を納めた、描き手ものりのりの一冊.ぜひお見逃しなく.

2002.01.28

 ようやく100枚に達した.二日で38枚では泊まり込んだ甲斐がないが、今夜は夜まで働くのだと思うとつい昼間のんびりしてしまう.徹夜をするほど筆も乗らなかったので、その程度だった.しかし今回はたぶん150枚以下で終わるのではないか.それなら次の章に入ればいいのだが、どうも疲労感が強いのでそれは勘弁してもらう.その代わり時間が残ったら、置きっぱなしにしてしまった官能小説を書き次ぐつもり.

 『緑金の午後』は以前月島に住んでいたという小説家大倉崇裕氏と、友人K氏に激励のメールをいただいた.ありがたいことである.あまりあせらずに、ゆっくりと暖めて行くつもり.実はいま波津彬子さんのまんが、それも長く続いている『雨柳堂』ではなくイギリスを舞台にシノワズリが入っているタイプの作品、が気に入っているので、舞台となる館はぜひコンドルさんで行こうと思う.彼はイギリス人だが日本趣味の人で、それが魅力で日本に来たらしく、生け花の本は書くは日本舞踊はやるは落語はやるは、であった.そういえば大倉さんといえば『3人目の幽霊』で好評を博した落語ミステリの人.コンドルに落語で短編一本、いかがっすか.


2002.01.26

 夕方から雪である.子供の頃は雪が降ると妙に嬉しかったものだが、この年になるとげんなりするばかりだ.どうせ仕事場まで行けば、昼食を買いに出る以外はどこにも行けないのだが.
 笠井潔『黄昏の館』を再読.仕事の最中は小説は読めない.せいぜいがエッセイか、小説なら再読だ.この小説が気に入っているのは、ひとつにはそこに登場する西洋館がなかなかに重厚に念入りに描かれているからで、リアリティの点だと多々いいたいことは出てくるのだが、ともかくもけっこうそれらしい.
 私の『緑金の午後』にも当然館が出てくる.しかし舞台は東京なので、さすがに3階建てルネッサンス様式の大邸宅というわけにはいかない.江戸時代の江戸は水運の都であったそうで、明治の財界人渋沢栄一がヴェネツィアン・ゴシックの館を建てたそうだが、とっくの昔にない.日本建築界の始祖ジョサイア・コンドルが、北海道物産売り捌き所という建物をやはりがちがちのヴェネツィアン・ゴシックで建てた、その設計図や見取り図、インテリアデザインなどが残っているので、月島あたりを舞台にこういう館をぶったてるのもええかなあ、と思っている.ああ、こういうことを考えているのが一番楽しい.
 本日は原稿62枚まで.遊ぶ時間を捻出するために、明日は仕事場泊まりで働くことにした.一日10枚ずつ進めれば30日で100枚になる勘定だが、気持ちの余裕がなさすぎて.というわけで明日の日記の更新はありません.

2002.01.25

 幸いジムに行く前に42枚まで到達.これなら夜まで働けばもっと書けるはずなんだが、うーむ.会話の所に来たので少し速くなった、ということもあるんだよ.
 自宅に戻ると新潮社から、いずれ書き下ろしの歴史小説で欲しい資料といっていたのの、コピーが届く.うーんうーん、まだ全然手はつけられないよお.
 気を取り直していつか書きたい幻想小説『緑金の午後』の話.子供時代の記憶をたどってひとつの家を探し求める話というと、いろいろありそうだが篠田が真っ先に思い浮かぶのは笠井潔先生の『黄昏の館』.子供時代に母に連れられていったどことも知れぬ大きな西洋館で過ごしたすばらしい夏休み.しかしなぜか母は、それを忘れろと命令し、そのまま時が過ぎて、という.幻想的に始まってサスペンス風になって、伝奇小説になって最後はホラーという、すごいツイストの利いた小説です.たぶんこれはいま、手に入らないんじゃなかろうか.
 しかし、いつか書きたいという物語をぼんやり夢想しているときほど、楽しいものはありませんなあ.

2002.01.24

 今日もやっとこ31枚まで到達.なにも10枚しか書かなくていいわけではないのだが.しかし明日はジムだし、コーヒー豆を買いにも行かないとならないので、10枚のノルマを果たせるかどうか不安.
 こういう毎日だと、「書かなければならない」以外のものが書きたくなってくる.数年前から頭にちらちらとしている話があって、しかしミステリではなく、ジュブナイルでもなく、渋い目の幻想小説なので、あまり引き受け手はないだろう.タイトルだけは決まっていて『緑金の午後』という.連作短編完結して落ちありだから、雑誌の連載向きではあるんだが.
 発想のもとは、子供の頃母親につれていかれたさるお屋敷.実はその場所は一応わかっているのだが、再訪しても記憶とは重ならないので、半信半疑な気持ちもある.これは山の手の邸宅なのだが、いっそ月島あたりに移したら、などと思うのは皆川博子先生の中洲物に憧れるからか.どうせいま書く時間はないのだから、日記でしばらくその話でもしよう.奇特な編集者が拾ってくれぬものでもない.とは、物欲しげな話だけれど.
 祥伝社文庫から出るアンソロジーに建築探偵の短編が収録されるのでゲラが来た.こういう仕事は夜家でするしかないなあ.

2002.01.23

 やっとこすっとこ21枚.二月末締め切りとして、それまでの日数からパーティ、サイン会、旅行を差し引き、毎日10枚必ず書けば間に合うな、と計算した.しかしそれだとなにかあったら簡単に予定が詰まる.せめて15枚くらいは書かないとなあ.
 2/9のサイン会のポスターは、篠田が最近は一番よく使う池袋西武のリブロにも貼られているらしい.写真入りだ.面が割れると嫌だなあ.しかしこの調子だと、本屋に行く暇もなさそう.最近はアマゾンでばかり.あー、つまらん.

2002.01.22

 ようやっと、行きつ戻りつ9枚.
 それにしても、二度とメフィストで連載はやらないぞ.前の方を読み返したら文章の明らかにおかしいところがあって、だけど完結して本にするときでないと直せない.それがどうにもキモチワルイ.
 といっても、「連載してくれ」といわれてしたわけじゃないので、これは誰のせいでもない、篠田自身のせいです.前の部長さんがいったのは「連載じゃなくて読み切りのほうがいい」だったのを、無理に「連載なら書きます」といったのは私.

2002.01.21

 あー、困っちまったなああ.なにがって、絶不調であります.仕事が.
 だいたい連載というのは、篠田あんまり得意じゃない.月刊の小説ノンの場合は、先に書いてしまうから、正確な意味では連載と違う.メフィストはたったの年三回だから、そのたびに全力投球すればいいやと思っていたのだが、今回どうにもそのスタートが切れないんだ.つまり、うまく書き出せない.
 読み返してみると、どうも前回の結末の切り方がいまいちだったなあ、という気がしてくるんだけど、単行本にするときは直すにしても、いまは覆水盆に返らず.というわけでなんとかしなくてはならないんだが、昨日今日行きつ戻りつ5.6枚書いたけど、やっぱり気にくわないというんで全部消してきた.こんなことやっていると、いよいよ仕事場泊まり込みしないとならなくなるけど、いまのままじゃ泊まり込んでも無駄.
 あんまり書けないので嫌気がさして、デビュー以来の作品数を数えてみたら、複数に分冊したものはひとつと数えて、文庫下ろしはもちろんカウントしないで、たったの23冊でした.あー、たったこれだけで枯渇するか、俺.

2002.01.20

 ようやく『アラブの見た十字軍』を読了.キリスト教徒側から見れば敬神と正義の戦いであった十字軍も、イスラム側から見れば蛮族の侵略以外のものではなかった、ということがよくわかる歴史書.著者はレバノン生まれだが、かといってイスラムを理想化もせず、十字軍の戦いをヨーロッパは文明進化の糧としたが、イスラム側はそれ以降衰退するのみだった、と結んでいる.今日のようにイスラムの一部がテロに走っている時代だからこそ、改めて思い返してもいい史実である.
 『アベラシオン』はなかなか出だしが決まらない.連載だと、毎回そのたびに最初と同じ書き出しの苦労を味わう.夕方になってやっと数行書き出した.予定からいくと、なんとしてもこのまま進まなくてはならない.

2002.01.19

 仕事場にはパソコンは二台あるがまともなデスクがない.普通の住宅の間取りを仕事場にしているので、一番明るい大きな部屋は食事場所でもあり、それもダイニング・テーブルを入れると手狭になるので、一枚板の座卓があるだけ.パソコンでする以外の仕事はここですることになるが、高さがデスクではないせいで姿勢が悪くなり、夕方になると頭痛に悩まされる.しかし章タイトルはほぼ決まりそうになってきた.明後日くらいには書き出したいものである.
 合間に読んだ本、『源内万華鏡』清水よしのり.昔「天下御免」というそりゃあおもしろいテレビドラマがあって、平賀源内を山口崇、杉田玄白を坂本九.そのほか林隆三とかも出て、それが平賀源内なる人物と出会った最初.歴史を肴に奇想天外をやるならこれが一番で、まっとおな評伝なら芳賀徹の『平賀源内』が名著.というわけでこの小説も、まったく先行二作を越えるものではありませんでした.
 ところで、来る二月九日東京東池袋のリブロでやる菊池秀行先生とのトークショウの受付が始まったようです.トップページから行ってください.よろしく.

2002.01.18

 今日も『アベラシオン』の続き.書き出す前の作業.そもそも章のタイトルが決まらない.これは縛りをかけてしまったせいもあって、必ず「あるいは『**』」として**の中にラテン語かイタリア語のルビ付きのことばを入れているのだ.実を言うと序章でそれをやったら、編集者が「かっこいい」というので、ついその気になったというもの.
 カレンダーを数えてみると日は限られている.2/12は旅行の前泊で大阪まで行くので、仕事できるのは2/11まで.その中に角川のパーティと祥伝社のサイン会の日を除いて、さあ一日に何枚だ.

2002.01.17

 池波正太郎のエッセイを読んでいると、浅草の天ぷら屋で胡麻油で黄金色にからっとあがった江戸前の天ぷらに、甘辛いたれをかけた天丼をかっこむとか、藪そばで菊政の樽をいっぱいキュッとか、銀座の資生堂パーラーで戦前のままのチキンライスとか、しきりと食欲が湧くのだが、気が着いてみれば年が明けてからいっぺんも東京に出ていない.仕事場で腹筋と自転車をやって、後はひたすら仕事である.
 それでも今朝『ルチフェロ』のゲラは送り返してしまったので、後は当面『アベラシオン』あるのみ.今日からこれまでの五回分を読み返し、メモを取って構想を固める作業に入った.半分以上勢いで書いているから、取り返しの着かないミスをしてやしないかとひやひや.考えてあった真相を忘れて「あれっ」とか思って、「ああ、そうか。これでいいんだ」と胸をなで下ろしたり.このへんをあんまり書くと、読者ががっかりするかもしれないので止めておこう.ともかく、月末にある角川のマンガのパーティ以外、遊びの予定もなんにもないのでひたすら仕事である.あーあ.

2002.01.16

 午後編集者が来ると思うと少し落ち着かなくて、仕事場の片づけなどする.『アベラシオン』の刷り出しを少しだけ読んだところでタイム・アップ.
 しかし学研では例の「差別語」を、差別意識は無しということでそのまま出してくれることになり、まずは上々.編集部内でもいろいろ検討いただいたようだが、自主規制してしまうよりとりあえずは当たってみるべきと、いまさらのように思う.学研はきびしいからダメ、などという人もいたのだが、いまや出版社の問題とだけはいえない.ブラック・リストに載っていることばでも、そのときどきの温度差があるようだ.
 こちらを片づけてからメフィストだ、とゲラを読み出すと、思ったより直したいところが、言葉遣いだけだが、出てきてしまう.夕刻徳間の編集から電話.昨日送った『堕とされしもの』がついたことと、ゲラは二月半ばに出るということ.二月半ば〜と声が裏返ってしまう.あれは分量が多いから、ゲラを読むにも時間がかかるのだ.『アベラシオン』も肝心なところにかかっているのに、間に合うんだろうか.
 というわけで、今夜は持ち帰り残業.学研のゲラを今夜中に見てしまう.

2002.01.15

 今日も体調が戻らない.朝耳鼻科に行って戻り、郵便局と銀行に行くとへろへろ.結局仕事場の長椅子で池波正太郎のエッセイに読みふける.さすがに彼の女性観はどうしようもないが、ご当人もそれが現代に通用しないことは承知しておられた.
 学研から明日の来訪について念押しの電話.講談社文3から増刷の電話.まだ始められてないんだー、と先に行ってしまう.しかし二月は旅行にも行くのだから、そろそろマジでやばくなってきた.学研のゲラを二日で終えて、今月中には書き出すこと.さもないとヴェネツィアの宿で手書きで原稿を書かねばならなくなる.67歳で亡くなる二ヶ月前まで『銀座日記』を書いていた正太郎翁を見習わなくては.

2002.01.14

 仕事場には来たが予定のことをする気がどうにも起こらない.体調が悪いようだと思っていたら、案の定女性の毎月のあれ.そのときによってなんでもなく済むときもあるのだが、今回はダメなようなので、あきらめて本を読む.
 西村京太郎『殺しの双曲線』はマニアの評価の高い初期作品だが、どうにも違和感があるのは、作品世界のリアルらしさと、トリックのアン・リアルさだ.
 藤村ひとみ『ジャンヌ・ダルク暗殺』この人の歴史小説の中では読めた方.しかし、暗殺ということばの意味を取り違えてないか.

2002.01.13

 最近『池波正太郎の銀座日記』を読み返している.老齢に達した作家が、銀座に出て見た試写会の映画の感想や、どこでなにを食べたか、なにをしたかといったことが、淡々と書かれている、ただそれだけのことだが、妙に心が安らぐ.こうして人は生きつつ老い、老いつつも死ぬまで生きていくのだな、と思う.
 今日は朝から通販の発送.こういうものはいつまでも置いておくと、やはり気になってしまう.日曜でも明いているショッピングセンターのビルへ、重い紙袋を下げていってやれやれ.本屋で池波のエッセイを買う.読まなくてはならない本はいくらでもあるのだが、ついこうしたものに手が伸びてしまう.
 午後は仕事場のベランダにテラコッタのタイルを並べる.『堕とされしもの』のプリントアウト.プリンタの紙送りが減っていて、紙詰まりして時間がかかった.明日は少し仕事場を片づけて、『アベラシオン』のために本を読もう.水曜に『ルチフェロ』のゲラが来たら、そちらを先に見なくてはならないのだが.今年は旧刊の再版ものが重なって、『堕』と『ル』の他にも『根の国の物語』が角川に引き取ってもらえる.あの話の設定にはまだ未練があったので、続きを書かせてもらえるのはありがたい.

2002.01.12

 丸二日間仕事のことは忘れて骨休め.しかし月曜日といっしょで、休んだ後はいまいち調子が出ない.
 二月に出るあすかミステリーDX掲載の「捻れた塔の冒険」のコメント、『東日流妖異変』の著者の言葉.ふたつを片づけて『堕とされしもの』直しの続き.一応最後まで終える.入校にプリントを付けた方がいいかどうか、メールしたが返事が来ないので、心配なのはこちらだから明日プリントしよう.それと通販の申込をくれた読者に、手紙を書いて明日中に発送する.16日には『ルチフェロ』のゲラが来てしまうので、間に雑用を終えてしまわないと、いよいよ『アベラシオン』が押してしまう.

2002.01.09

 今日で『堕とされしもの』にけりをつけるつもりが、読み返しが意外に時間を食ってまだ半分しか終わらない.午後から祥伝社さんがゲラを持ってきたが、校閲の鉛筆は四カ所しかないというので、そこだけ見るので勘弁してもらう.その後は来月のトークショウの打ち合わせ.いまから不安.

 ここでひとつお知らせ.通販を申し込んで下さった皆様、1/7到着分まで、本日篠田のもとに回送されました.たくさんのお申し込みありがとうございます.また、添えられていたお便りも拝読しました.励ましていただいてすごく嬉しいです.
 ペーパーの増刷やつけるお手紙を書くため、なんとか来週中には全員の方に発送したく思っております.それとお手紙を下さった方も、去年の12月から向こうに止まっていたようなので、返事が遅くなってすみません.
 また、いまから「BLUE BLUE BLUE」の通販を申し込んで下さる方には、少しお待たせするようになります.篠田の手元にある分が、今回でほぼなくなってしまったので、秋月さんのところから取り寄せなくてはならないのですが、彼女はいま修羅場でテンパっておりますので、そちらが片づいてから、今月末にならないとちょっと無理なのです.次回のマンガは2/5発売、「捻れた塔の冒険」です.福島取材の成果を是非ご覧下さい.

 それでは明日明後日篠田は正月休みです.日記の更新は金曜夜になります.

2002.01.08

 そろそろ世の中も通常モードってわけで、編集から連絡が入る.というか、編集からくらいしか連絡入らない、さびしい生活なり.
 メールは学研と徳間、電話は講談社ノベルスと講談社文庫と角川マンガと祥伝社.なんか気がつくと、編集からの電話に逃げ腰になっている.いやだなあ.とにかく今月中にゲラをふたつもらって戻さなくてはならない、ということがいまさらのように判明した.まあ、ひとつは再校だし.一般読者に説明しますと、篠田の場合通常二度ゲラを見ます.入校/初校/初校校閲/初校著者チェック/再校/再校校閲/再校著者チェック、まあ普通はこれくらいで終わります.やれやれと思っていると、今度はあとがきだとか、帯だとか、いろいろ残っているものがあって、なかなか気が抜けない.
 今日は一日かけて『堕とされしもの』最後まで直してプリント.明日は午前中『堕』のプリントをチェックしてデータを訂正、午後は祥伝社のゲラをもらって、夕方ジム.誉めて言えば充実した生活でありますな.

2002.01.07

 昨日は一日早く七草粥を食べた.
 今日からまた『堕とされしもの』の直し続行.かなり分厚い文庫二冊か、あるいはやや薄いめが三冊か.プリント・アウトしてから暇が有れば読み返して直そうと思っているが、一応進行状況としては下巻の半分くらい.
 今日は一日やるぞー、と思っていたら、昼飯に納豆かけご飯を食らった後、なにか前歯の間に詰まっているのか、いや、詰め物がぽろりと取れた.やむを得ず歯医者に電話.幸い午後に入れてもらえたので、やれやれと出かけていくと、麻酔かけるんだなあ、これが.上唇から鼻まで無感覚.なかなかの苦行であった.
 今週後半はちょっと出かけるので、明日明後日で一応『堕』のけりをつけようと思っている.

2002.01.06

 少し飲み過ぎて胃が痛く夜眠れなかった.しかし今日は江戸東京博物館へ.常設展示は見ず、「住まいの軌跡、都市の奇跡」という特別展を見る.日曜日に来たのは、会場に作られた復元住宅で再現ドラマがある、というからなのだが、出てきたのは男性の俳優さんひとりで、ドラマというのはかなりオーバー.それでもいまはなき同潤会代官山アパートの室内や、国産初のプレハブ住宅はそれなりに見応えがある.
 仕事場に戻るとアマゾンに注文した本が来ていて、『池波正太郎の食卓』をさっそく読み始める.この人の作品は「仕掛け人藤枝梅庵」と「剣客商売」のシリーズ、それに『銀座日記』しか読んでいないのだが、文章の独特の間合いが好きだ.それと、作中に実に旨そうなものが登場する.
 さて、二日遊んでしまったので、また明日から仕事再開.

2002.01.04

 明日友人が遊びに来て新年会をする.別頁に掲載した同人本を作った、柿沼瑛子さんと溝口彰子さんが来るので、実質的には打ち上げか.しかし食料品の買い出しに出ると、まだ流通が平常に戻っていないためか、いつもは置いてある生モツァレラがないとかあって、結局スーパーを4軒廻るはめに.
 午後は『堕とされしもの』直しの続き.小説を書くのは創造的な仕事だが、直しをするのは作業といった方がいい.読み返していたら、なんか設定でしっくりしない細部が出てきて、ちょっと嫌になる.やはりいったんプリント・アウトして、見直すしかないだろうなあ.あまりこいつに時間はかけられないのだが.
 明日はそんなわけで日記の更新はありません.日曜日は両国の江戸東京博物館に行く予定.赤字の源だそうだが、好きなんだよね、ここって.そうそう.両国駅には地ビールのビヤホールがあって、そこに入ると席まで纏に先導されるのであります.なんの必然性も、ないなー、たぶん.

2002.01.03

 昨日は仕事場周辺でも小雪がぱらつきひどい寒さ.そのせいか全身の筋肉が強ばり頭痛もひどくて、思うように仕事が進まなかった.かくてはならじと本日は朝からさぼりまくっていたジムへ.自転車30分ウォーキング30分その他マシンを少々.その後は風呂に入って、幸い頭痛も取れた.新聞では「家庭で出来る筋トレ」などという記事を切り抜きしているのに、ちっとも実行しない己が情けない.今年こそは、といまなら決意するにいい時期だ.
 午後からは『堕とされしもの』の手直しを続行.文章を整えるだけなので、分量はあまり増えない.それでも350頁以上の分厚い文庫が二冊になる.三冊にするかという話もあったのだが、かえって割高になるからね.イラストはすべて描き下ろしなので、どうぞ元本をお持ちの方も見てやってください.来年には続きも出る、はずです.

2002.01.02

 本日は仕事場に出勤.久しぶりに電車を使ったところ、駅までの途中で山鳥を目撃、さらにカラスウリの赤い実を採集.我ながら田舎に住んでいるものであります.
 仕事場では、当初『アベラシオン』の続きをやるつもりだったが、二月中にヴェネツィアに遊びに行くので、行ったらなにか作品のヒントが掴めるかも知れないなどと思い、徳間デュアル文庫の『堕とされしもの』直しを始める.あ、だけどこれだってヴェネツィアの話じゃん.

2002.01.01

 皆様明けましておめでとうございます。どんなお正月を過ごしていらっしゃいますか。
 篠田は毎年寝正月です。朝寝をして、陽の当たるリビングで伊達巻きやきんとんを食べながら日本酒を少し。近くのお不動様におまいりにいったついでに散歩をして、戻ってから年賀状を読み、そんな感じで一日が終わります。心おきなく休めるのは今日明日くらいで、三日になるとそろそろ仕事が気がかり。今年の最初の仕事は、メフィストの連載原稿です。
 話は変わりますが、年末のコミケでは秋月杏子さんのスペースにたくさんのお客様が来ていただき、なんとここでお話しした篠田の短編が載っている建築探偵同人本が完売してしまいました。在庫はまだあるので通販は可能ですが。そうして篠田と柿沼さん、溝口さんが参加した「YAOIの法則」も、二日間で約200冊が売れてしまい、こちらは300しか刷っていないので、あまり余裕がありません。手に入れたい方は、どうかお早めにお手紙を下さい。