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2001 6.1

 いよいよ仕事日誌の開始.プライヴェートなことではなく、読者が興味を持ちそうな仕事の進行状況といったことを中心に進めていくつもり.当面は思い出しながら書くことになるので、ごく簡単に.
 この日はようやく建築探偵の新作「月蝕の窓」を送稿した.数えれば三月の半ばから二月半.それで長編一本というのは速いのか遅いのか.しばらく脱力して旅にでも出たいところだが、メフィストの連載を書かなくてはならない.

: 建築探偵の漫画化コミック第一弾発刊.「井戸の中の悪魔」角川書店.短編二本が収録されている.ミステリの漫画化はまったく難しい.よくぞこのやっかいな原作を手がけてくれたものだ.アーティスト秋月杏子さんに心からの拍手を.

2001.6.6

 建築探偵漫画化第三作、「塔の中の姫君」があすかミステリーデラックス7月号に掲載される.今年の二月にはこのための取材に、秋月さんとベトナムへ行った.楽しい.というわけでただいまベトナムがマイブームである.とはいっても、また行きたいというには、時間がないんだけど.
 この日は学研の第一回伝奇ノベル大賞受賞パーティ.最終選考委員が夢枕菊池皆川の三氏だというのだから豪華絢爛.私も投稿したい.でも落ちたらみじめだ.

2001.6.8〜13

 東京神楽坂の「あゆみギャラリー」で、連れ合い半沢清次の初の作品展示会.懐かしい知人が次々と来てくれたのもうれしかったが、フリーのお客様も少なからず、彼も手応えをつかんだようだった。私のように不器用で、物書き以外能のない人間には、無からなにかかたち有るものを作り出すというのはまことにまぶしく思える.

2001.6.15

 光文社から異形コレクション「玩具」の依頼.しかし実をいうと篠田は、前回の「夢魔」を没にされているのである.そんなこともあって、あんまり気が進まない.しかし結局書いてしまった.どうなるかは不明.

2001.6.18

 ようやくメフィスト連載中の「アベラシオン」第4回が筆が乗ってきた、と思ったところが講談社担当から電話.「月蝕の窓」のゲラが金曜に出るが、それを今月中に戻してほしいといわれる.がびん。

2001.6.22

 明日が第一回の本格ミステリ作家クラブ受賞パーティ.前日から都内に泊まって、前夜祭というか、飲む食らう.やはりほんとにおいしく感じるのは、自前でたべるものだ.
お連れはふたり.西澤保彦さんと光原百合さん.ビヤホール、紅茶屋、ホテルのバー、屋台の台湾料理、と食べ歩く.ホテルに戻ってからはこゆいお話を.それはここでは書けません.

2001.6.23

 またまた不眠症.結局一睡もできないまま、光原さんと落ち合って神楽坂でランチとお茶.そして総会.パーティ.倉知さん、ほんとにおめでとう.篠田があなたに投票しなかったことはばれてるけど.それと有栖川会長から、篠田さんは投票なさらないかもしれないと思っていた、といわれて恐縮.以前某アンケートで、ベストテンのたぐいは嫌いだからと拒否していたのを、ご記憶だったらしい.でも、この賞は分母が決められているから、また違うと思いますよ.

2001.6.24

 連れ合いと落ち合って、木工展で売れた作品の納入につきあい帰宅.やはり我が家でないと安眠できないとは情けない.

2001.6.25

 「月蝕の窓」のゲラが来ているのだが、手をつけられず.やはり疲労残り.

2001.6.26

 誰でもということはないだろうが、私はゲラのチェックが嫌いだ.校閲の鉛筆というやつが好きになれない.揚げ足を取られるみたいで.それでもときどきとんでもないミスをしたりもしているのだから、嫌でも耐えなくてはなりません.
 建築探偵漫画化の第四弾は10月6日売りの11月号、「桜闇」.モデルになった舞台を秋月さんと再訪したいと思うが、都庁の担当が変わっていて、角川の編集は嫌な思いをさせられたあげく断られた由.いまだに漫画やミステリは女子供のもの、とでも思っているのだろう.近代の日本が生んだものといったら、サブカルチャーくらいしかないじゃないか.むかつくぜ、木っ端役人.

2001.6.27

 とりあえず「月蝕の窓」初校ゲラを見終える.今回は我ながら異色っぽい話なり.もう少し頭を冷やして見直したいのだが、時間がない.再校ではもう少し時間が取れるだろうか.さあ、明日から「アベラシオン」の続きをやらないと.こちらはパーティ前に120枚まで来て、眠れぬ夜に赤を入れてある.結局200位にはなりそうな気がしてきた.メフィストは枚数制限がないので、つい呑気な仕事をしてしまう.しかし私のように、設計図抜きで仕事している人間にはありがたいこと

2001.6.30

 昨年の四月に廣済堂出版から出した「夢魔の旅人」が白泉社から再版された.ただし誤植があるなど、気に入らないことも多々.