ローコストキャリア

ローコストキャリアとは低コストで運営している航空会社のことです。
成長著しいエア・アジアなどアジア勢が元気ですが、オーストラリアをはじめ米国やヨーロッパ、南米などでも次々と新しい格安航空会社が誕生しています。
しかし、昨今の不安定な燃料コストや世界的経済危機などで誕生から間もなく姿を消してしまう会社も少なくありません。
また、コスト削減の程度やサービス水準もさまざまで、ローコスト=低サービスという方程式は必ずしも成り立たないようです。

今回はエア・アジアとジェットスター・アジアという2社を搭乗体験したので簡単に比較してみます。

当初、エア・アジアはクアラルンプール国際空港(黒川紀章氏が設計)のメインターミナルを使用していましたが、発着便数の増加とターミナル使用料の負担増を理由に貨物倉庫を改造した専用ターミナルへ移転しました。
専用ターミナルはチープな構造でチェックインカウンターの職員や機内のアテンダントなどスタッフ全体の士気も高くないように見受けられました。
次々と新規路線を開設し経営拡大を続ける会社に、薄利多売で消耗している社員がついていけない状態なのかもしれません。
徹底したコスト削減もいいのですがホスピタリティやサービスまで切り詰めないで欲しいものです。

一方、シンガポール・チャンギ国際空港を拠点に路線を展開しているジェットスター・アジアは、チェックインカウンターもメインターミナルにありましたし、ボーディングブリッジ(搭乗橋)を使用して直接機内へ搭乗できるなどローコストと言いながらも一定のサービス水準を維持していました。

両社とも搭乗券はレシートのような簡素なもので、機内サービスの飲み物やヘッドフォンは有料ですが、乗客への対応やサービスという点ではジェットスター・アジアの方が洗練されていました。
また、インターネットで事前に座席指定ができるジェットスター・アジアはスムーズに搭乗できましたが、座席指定のないエア・アジアは好条件の座席を確保するため搭乗口へ乗客が殺到するなど対照的でした。
これらの違いはコストのかけ方だけでなく、会社の方針や母体となる会社のお国柄なども影響しているようです。

乗客の負担として両社に共通しているのは、搭乗券の発券業務を発着地の空港会社に委託していないため、国際線で到着してから格安航空会社へ乗り継ぐ場合、一旦、到着地で入国しなければ次の区間の発券手続きができないことです。
さらに、手荷物に関しても機内持ち込みの手荷物は7kgまで、預け入れ手荷物は行先別に詳細な制限重量が設けられており、超過すれば追加料金が徴収されるのですが、カウンター職員のやる気がないので、私の重そうな手荷物(おそらく10kgくらいはあった)もノーチェックでした。
機内の座席も掃除が簡単な革張りで、膝が前席の背もたれにギリギリ触らない程度まで間隔を狭くしてありました。

両社に搭乗して感じたことは、2時間程度の短距離路線ならば大いに活用したいのですが、中・長距離路線の場合は一般的なサービスを無料で受けられる航空会社を選択したいと思いました。
これは飛行機を単なる移動手段と割り切るか、旅の重要パーツと位置づけるかで選択の分かれるところかもしれません。

【2008年12月】