パスポート忘れとフライトキャンセル

ボストンからバーモント州バーリントンへの国内線に乗ろうと友人の車でローガン国際空港へ送ってもらいました。

「パスポートプリーズ!」。
チェックインカウンターで凍り付いてしまいました。
国内線なのに何で要るの?
パスポートは友人宅に置いたままでした。
急いで友人宅へ電話をかけ事情を説明して大急ぎで空港まで届けてもらい事なきを得ました。

ボストンから近郊の都市へはシャトル便と呼ばれる小型のジェット機やプロペラ機が飛んでいます。
平日は便数が豊富ですが休日の今日は便数が半数以下です。
定刻に離陸したプロペラ機はバーリントン空港を目指します。
窓からはボストンやケンブリッジの街並みが眺められました。

バーリントン空港へ着陸態勢に入りましたが雲の中で機体が激しく揺れています。
滑走路めがけて2度も着陸を試みましたが激しい雷雨のためボストンへ引き返すことになってしまいました。

ボストン空港では午後1時に再出発するとの説明でしたが、結局午後2時になって欠航が確定。
私を含め引き返した乗客は後発便のキャンセル待ち手続きをしました。
本来、天候による欠航は新たに航空券を購入しなければなりませんが、今回は航空会社の特別な配慮による措置でした。

午後3時の便はキャンセルが出ず、午後6時の便でやっと乗客の名前が呼ばれ始めました。
さすがに多くのキャンセル待ちの乗客は他社便に流れたのかあきらめて帰ってしまったようでした。
私の前には2組の夫婦が順番を待っていました。
1組目の夫婦が呼ばれ搭乗券を受け取りました。
2組目の夫婦も呼ばれましたがどうやら空席は1席のみのようでした。
すると私の名前が呼ばれました。
2組目の夫婦は悔しさをこらえきれない様子でしたが、私に「良い旅行を!」と声をかけてくれました。

搭乗したプロペラ機は滑走路へ移動を開始したものの窓の外は稲妻と豪雨。
またしても悪天候のため空港が30分閉鎖されてしまいました。
じっと機内で待機したのち午後7時過ぎにやっと離陸しました。
ボストンの美しい夜景に別れを告げ10時間前に着陸しようとしたバーリントンへやっと到着したのでした。

【1997年9月】