1.はじめに

      今回は4次のディオファントス方程式を解いてみたいと思います。
      歴史的に、x4 + y4 = u4 + v4 の方程式は色々な人々によって解かれているので
      そのうちの幾つかを紹介しましょう。



2. オイラーの方法

         オイラーは私の知っている限り2,3通りの方法でこの方程式を解いていますが
         ここで紹介する方法が一番分かり易いと思います。

         x=at+c, y=bt-d, u=at+d, v=bt+c とおけば
         
         (-4da3-4db3-4cb3+4ca3)t3+(-6c2b2-6d2a2+6d2b2+6c2a2)t2+(-4c3b+4c3a-4d3a-4d3b)t = 0

         t3 の係数は c = a3+b3, d=a3-b3 の時に 0 になるから
         t=-2/3*(-c3b+c3a-d3a-d3b)/(-c2b2-d2a2+d2b2+c2a2) となって
         c = a3+b3, d=a3-b3 を上式に代入すれば
       
            x=a7+b2a5-2b4a3+ab6+3b5a2

            y=ba6-2b3a4+b5a2+b7-3b2a5

            u=a7+b2a5-2b4a3+ab6-3b5a2

            v=ba6-2b3a4+b5a2+b7+3b2a5

         例えば、(a,b)=(2,1) の時、1584 + 594 = 1344 + 1334(最小解) を得る。

         鑑賞のポイント

            対称式の性質を利用して4次項と定数項を消して3次式に次数を下げた事が
            成功の秘密ですね。流石オイラーです!、解き方が実に自然です。
            
3. ディオファントス流の方法     

         ディオファントスはこの方程式を実際には解いてはいませんが、彼の方法で
         解いてみたいと思います。

         まず、x=mt+a, y=t-b, u=t+a, v=mt+b とおくと
         (-4a-4m3b+4am3-4b)t3+(6b2+6a2m2-6m2b2-6a2)t2+(4a3m-4b3-4a3-4mb3)t
         t の係数は m=(a3+b3)/(a3-b3) の時に 0 となるので

         t=-3/2(b2+a2m2-m2b2-a2)/(-a-m3b+am3-b) となり m=(a3+b3)/(a3-b3)
     を代入して整理すれば

            x=a7+b2a5-2b4a3+b6a+3b5a2

            y=3b2a5-b5a2-ba6+2b3a4-b7

            u=a7+b2a5-2b4a3+b6a-3b5a2

            v=b5a2+3b2a5+ba6-2b3a4+b7

         鑑賞のポイント

            オイラーの方法で求められたのと同じ解が得られました。
            この方法は汎用性が広く、x4+y4+z4=u4+v4+w4 等の4次の対称式についても
            同様な方法で解を得ることが出来ます。

         x=a7+b2a5-2b4a3+b6a+3b5a2=f(a,b) とすると

            f(a,-b)=u=a7+b2a5-2b4a3+b6a-3b5a2

            f(b,a)=v=b5a2+3b2a5+ba6-2b3a4+b7

            f(b,-a)=y=3b2a5-b5a2-ba6+2b3a4-b7

            となって奇妙な性質を持っています。

4. 接線法     

         3次曲線上の自明な点での接線を求めれば、曲線との交点は有理点になる原理を利用します。

         X4 + Y4 = U4 + V4 において
         まず、X=x+a, Y=y-b, U=x-a, V=y-b とおくと
         8ax(x2+a2) = 8by(y2+b2)
         となるので、自明な点(x,y)=(b,a)上の接線を求めると
         y=a(a2x+2ba2+3b2x-2b3)/b/(b2+3a2) となる。

         曲線との交点は
         x=-2(4a6+b2a4+10b4a2+b6)b/(a6-17b2a4-17b4a2+b6)
         y=-2(a6+10b2a4+b4a2+4b6)a/(a6-17b2a4-17b4a2+b6)
         となります。
         従って

         X=-8ba6-2a4b3-20b5a2-2b7+a7-17b2a5-17b4a3+ab6
         Y=-2a7-20b2a5-2b4a3-8ab6-ba6+17a4b3+17b5a2-b7
         U=-8ba6-2a4b3-20b5a2-2b7-a7+17b2a5+17b4a3-ab6
         V=-2a7-20b2a5-2b4a3-8ab6+ba6-17a4b3-17b5a2+b7

         例えば、(a,b)=(3,1) の時、1344 + 1334 = 594 + 1584(既約解に直した)を得る。


         鑑賞のポイント

            先の方法と同様に3次式に次数を下げて、自明な解を見つける事がポイント。

 


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