1.はじめに

インドの天才数学者ラマヌジャン(1887-1920)は、次の様な恒等式を発見したそうです。(参照、1)

(8s2+40st-24t2)4+(6s2-44st-18t2)4+(14s2-4st-42t2)4+(9s2+27t2)4+(4s2+12t2)4 =(15s2+45t2)4  

(2m2-12mn-6n2)4+(2m2+12mn-6n2)4+(4m2-12n2)4+(4m2+12n2)4+(3m2+9n2)4 =(5m2+15n2)4




1. http://mathworld.wolfram.com/DiophantineEquation4thPowers.html


当然、同じ様な恒等式が他に有るか調べてみる事にしました。


2.恒等式の調査方法
    
  a1,a2,a3,a4,a5,b1,b2,c1,c2,c3,c4,c5は有理数とする。

(a1x2+b1x+c1)4+(a2x2+b2x+c2)4+((a1+a2)x2+(b1+b2)x+c1+c2)4+(a3x2+c3)4+(a4x2+c4)4=(a5x2+c5)4

としてxの係数を0にするようにa1,a2,a3,a4,a5,b1,b2,c1,c2,c3,c4,c5を決定する。

証明

  係数が膨大になるので省略します。

 
                  
       
3.調査結果

|a1,a2,a3,a4,a5,b1,b2,c1,c2,c3,c4,c5|<50
但し、一部範囲を超えているデータもあります。

次の様な結果が得られました。


(1)...(6x2+12x-2)4+(6x2-12x-2)4+(12x2-4)4+(9x2+3)4+(12x2+4)4 =(15x2+5)4

(2)...(24x2+40x-8)4+(18x2-44x-6)4+(42x2-4x-14)4+(12x2+4)4+(27x2+9)4 =(45x2+15)4

(3)...(6x2+24x-8)4+(6x2-24x-8)4+(12x2-16)4+(9x2+12)4+(12x2+16)4 =(15x2+20)4

(4)...(8x2+24x-6)4+(8x2-24x-6)4+(16x2-12)4+(16x2+12)4+(12x2+9)4 =(20x2+15)4

(5)...(2x2+24x-24)4+(2x2-24x-24)4+(4x2-48)4+(4x2+48)4+(3x2+36)4 =(5x2+60)4

(6)...(24x2+24x-2)4+(24x2-24x-2)4+(48x2-4)4+(48x2+4)4+(36x2+3)4 =(60x2+5)4

(7)...(6x2+48x-32)4+(6x2-48x-32)4+(12x2-64)4+(12x2+64)4+(9x2+48)4 =(15x2+80)4



4.解釈と鑑賞

   x=m/n とおけば(1),(2)式はラマヌジャンが与えた2変数の恒等式になります。
   
   ax2+bx+c の式でaとcを入れ替えると互いに恒等式を入れ替える事ができます。
   つまり、(3)式<====>(4)式, (5)式<====>(6)式の間で互いに入れ替われます。
   従って、(7)式には(80x2+15)4に関する恒等式が存在する事が予想できます。

   コンピュータも無い時代にラマヌジャンはどうやって発見したのでしょうか。
   伝説によると計算は普通の人と同じ様にしたそうですから、さぞかし大変だったと思います。






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