1.はじめに



「コンピュータ数論」と謳っておきながら扱う話題がディオファントス方程式が多くなってしまうのは
ディオファントス好きな私としては当然な結果なのかもしれません。
ディオファントスは色々な方程式を解いていますが、簡単な例でどのように解いたのか、
解法を鑑賞したいと思います。



2. 2次の例


         「与えられた2つの平方数a2,b2の和を、別の2つの平方数の和に分けよ。」

          a2+b2=x2+y2       

             
         解法

       ディオファントスが求めているのは通常有理数解であるので、簡単に求まります。
         a,b,t,m,x,y は有理数とする。

         x=t-a,y=mt-b とすれば (m2+1)t2+(-2a-2bm)t = 0 となるので t について解けば

         t=(2a+2bm)/(m2+1) となるので結局 x,y は

         x=-(-a-2bm+am2)/(m2+1)

         y=(2ma+bm2-b)/(m2+1)

         と求める事が出来ました。

     数値例として、(a,b,m)=(1,2,3) とすれば x=2/5,y=11/5 となって
         確かに 12+22=(2/5)2+(11/5)2 が成立しています。


         また見方を変えれば、上式で分母を払えば 52+102=22+112 となるので、2つの平方数の和を
         2通りに表す整数解(パラメータ解)が次の様に求められた事になります。

         (a(m2+1))2+(b(m2+1))2 = (a+2bm-am2)2+(2ma+bm2-b)2

         関連した話題については、「ピタゴラス方程式を鑑賞する」を参考にどうぞ。 


3. 3次の例


         「与えられた2つの立方数a3,b3の和を、別の2つの立方数の和に分けよ。」

          a3+b3=x3+y3       

             
         解法

       2次の場合と同様にして解く事ができます。
         a,b,t,m,x,y は有理数とする。

         x=t+a,y=mt+b とすれば (1+m3)t3+(3a+3bm2)t2+(3a2+3b2m)t = 0 となるので

         m=-a2/b2 として t について解けば

         t=3b3a/(a3-b3) となるので結局 x,y は

         x=a(2b3+a3)/(a3-b3)

         y=-b(2a3+b3)/(a3-b3)

         と求める事が出来ました。

     数値例として、(a,b)=(1,2) とすれば x=-17/7,y=20/7 となって
         確かに 13+23=(-17/7)3+(20/7)3 が成立しています。

         また見方を変えれば、上式で分母を払えば 73+143=-173+203 となるので、2つの立方数の和
         を2通りに表す整数解(パラメータ解)が次の様に求められた事になります。

         (a(a3-b3))3+(b(a3-b3))3 = (a(2b3+a3))3+(-b(2a3+b3))3


         関連した話題については、「x^3+y^3+z^3=w^3のパラメータ解」,「タクシーナンバーと楕円曲線」
         を参考にどうぞ。 






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