1.はじめに

その昔オイラーは、A4+B4+C4=D4には整数解が無いと予想しました。
長い間その様に信じられてきましたが、1987年にElkiesによって次の様な反例が発見されました。

       26824404+153656394+187967604=206156734 (1. Elkies)

その後、Fryeによって最小解が発見されました。(2. Frye)

    958004+2175194+4145604=4224814

1997年にMacLeod により,その当時では3番目に小さい解が見つけられました。

       6306626244+ 2751562404+ 2190764654=6385232494

Bernsteinは次の様にいくつかの解を見つけました。(3. Bernstein)

       13904004+27676244+6738654=28130014

       55078804+83322084+17055754=87074814

       58700004+112890404+82825434=121974574 

       等々D<2.1*10^7の範囲で7個の解が見つかりました。


1. Noam D Elkies: On A4+B4+C4=D4,Mathematics of Computation,Oct.1988
2. Roger E. Frye: Finding  958004+2175194+4145604=4224814 on the Connection Machine
3. Daniel J. Bernstein: ENUMERATING SOLUTION TO p(a)+q(b)=r(c)+s(d)



Elkiesの方法によって、いくつか解を見つけてみたいと思います。

2.A4+B4+C4=D4の解の調査方法
    
    r4+s4+t4=1の有理数解を求めるのと同じ事なので、次の様になります。
        m,n,は整数, x,y,r,s,tは有理数。
       r=x+y,s=x-y

        (2m2+n2)y2=-(6m2-8mn+3n2)x2-2(2m2-n2)x-2mn................ (1) 

        (2m2+n2)t2=4(2m2-n2)x2+8mnx+(n2-2m2)...................... (2)
        
    1.適当な(m,n)を選んで(1)式の有理数解(x,y)を求める。
    2.有理数解(x,y)をパラメータ化する。
    3.パラメータ化した有理数解xを、(2)式に代入する(4次の楕円曲線になる)。
    4.4次の楕円曲線の有理数解を求める。
    5.求められた有理数解を逆変換して(r,s,t)を求める。



       
3.調査結果

1.958004+2175194+4145604=4224814を求める。

  この解は既にFryeが見つけていますが、彼はElkiesとは違う方法で行っているので、ここでは
  Elkiesの方法で理論的に解を導いてみたいと思います。
  Elkiesも指摘しているように、(m,n)=(20,-9)から求められます。
  (1)式と(2)式に(m,n)=(20,-9)を代入すれば

     881y2 = -4083x2-1438x+360........................... (3)

     881t2 = 2876x2-1440x-719............................ (4)

   (3)式の有理数解を求めると(x,y)=(49/318,23/106)となって、パラメータ化すると

        x=1/318(43169*k2-657351-121578k)/(881k2+4083)....... (5)

          y=-1/106(20263*k2-93909+285806k)/(881k2+4083)....... (6)

   (5)式を(4)式に代入して整理すると、次の様になります。
        
         Y2=19435071440k4-5351620404k3+130338882000k2-194951575764k-357457601448.... (7)
         Y=t(140079k2+649197)

   (7)式の有理数解を求めるとk=-59/81,Y=2444043484/6561となる。

  k=-59/81を(5),(6)式に代入すれば,x=-159380/422481,y=85060/140827となる。

    r=x+y=-159380/422481+85060/140827=95800/422481
    
    s=x-y=-159380/422481-85060/140827=-414560/422481

    t(140079k2+649197)=2444043484/6561より、
   
    t=217519/422481

    すなわち、(95800/422481)4+(-414560/422481)4+(217519/422481)4=1 なので

  958004+2175194+4145604=4224814 となります。


2.6306626244+ 2751562404+ 2190764654=6385232494を求める。

    この解はMacLeodが既に見つけていますが、ここでは前の解と同様にElkiesの方法で求めてみます。
    (m,n)=(8,-5)とすると

  153y2=-779x2-206x+80
    153t2=412x2-320x-103

    パラメータ化すると

    x=(51k2-34k-5221)/(14(17k2+779))............................................ (8)
    y=(17k2+7558k-779)/(42(17k2+779))........................................... (9)

    Y=-31790X4+36941X3-56158X2+28849X+22030.................................... (10)
    X=(k+2)/7

    (10)式の有理数解を求めるとX=-3015/9707となる。
    k=-3015/9707*7-2を(8),(9)に代入すればx=-59251064/212841083,y=452909432/638523249となる。

  r=x+y=-59251064/212841083+452909432/638523249=275156240/638523249

    s=x-y=-59251064/212841083-452909432/638523249=-630662624/638523249

    t=219076465/638523249
    結局

    6306626244+ 2751562404+ 2190764654=6385232494


3.5826652964+ 2600523854+ 1866680004=5898459214を求める。

  この解は私が見つけました。
  (10)式で新たに有理数解X=18247/19530が見つかったので、これをもとにして同様に計算すると

  k=18247/19530*7-2だから、x=-107537637/393230614,y=-842717681/1179691842

    r=x+y=-107537637/393230614-842717681/1179691842=-582665296/589845921
    s=x-y=-107537637/393230614+842717681/1179691842=260052385/589845921
    t=186668000/589845921
    結局

    5826652964+ 2600523854+ 1866680004=5898459214


4.16774794902382238236614465134=1692180213221702044806803054
                                +15075240668820384725847868004
                                +12880569825864275910622033844

    この解も私が見つけました。
  実は、このような大きな解は幾らでも作ることができます。
  Elkiesが証明しているように(10)式の有理数解は無数に存在するからです。
  今(10)式の解として3点:P(-31/467,30731278/467^2),Q(-3015/9707,438152930/5542697),
    R(18247/19530,292135420/3814209)が解かっているわけなので
  3点P,Q,Rを通って(10)式の楕円曲線と交わる第4の点:Sを求めれば、点Sは有理点のはずです。
  何故なら、方程式の根と係数の関係によって3点P,Q,Rが有理点なので残りの第4の点:Sは
  自動的に有理数となり、有理点になるからです。

  3点P,Q,Rを通る曲線を求めてみると、次の様になります。

  Y=-12884004827215/50505407906X2+15872118910607/101010815812X+15400754666545/101010815812

    この曲線と(10)式の楕円曲線との交点をもとめると、X=99656645595927/152926786974106 となる。

    k=99656645595927/152926786974106*7-2だから,
    x=-446102015186622756034702165/1118319660158815882440964342
    y=1676742088204208677065467105/3354958980476447647322893026

    r=x+y=169218021322170204480680305/1677479490238223823661446513
    s=x-y=-1507524066882038472584786800/1677479490238223823661446513

    結果として

    16774794902382238236614465134=1692180213221702044806803054
                                 +15075240668820384725847868004
                                 +12880569825864275910622033844


5.16706172714+ 6326719604+ 502378004=16791427294を求める。

    この解は私が見つけました。
    (m,n)=(20,-9)の時に(1),(2)の複方程式を解いてまとめると、kに関する4次方程式になる。

    Y^2=-19956651632*k^4+49953492900*k^3+8463446784*k^2+566201542500*k+91714580856
    有理数解を求めるとk=-457/2836となり

    x=-1037945311/3358285458
    y=767763077/1119428486
    r=x+y=632671960/1679142729
    s=x-y=-1670617271/1679142729

    すなわち
  16706172714+ 6326719604+502378004=16791427294


6.224955952840404+75924319813914+272397916926404=299998579386094を求める。

    この解は私が見つけました。
    (m,n)=(20,-9)の時に(1),(2)の複方程式を解いてまとめると、kに関する4次方程式になる。

    Y^2=-19956651632*k^4+49953492900*k^3+8463446784*k^2+566201542500*k+91714580856
    有理数解を求めるとk=9319/12137となり

    x=-30088027265431/59999715877218

    y=4967721100883/19999905292406

    r=x+y=-7592431981391/29999857938609

    s=x-y=-22495595284040/29999857938609

    すなわち
      224955952840404+75924319813914+272397916926404=299998579386094








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