1.はじめに

   初めてピタゴラスの定理を知ったのは、中学の幾何の定理として登場した記憶があります。
   従って、X2+Y2=Z2の一般解などはガッコーで習わなかったように思われます。

   一方、個々の数値解は古くから知られていて、B.C.1900年からB.C.1600年の古代バビロニアの
   粘土板に15組の解が書かれているそうです([1])。

      一般解については、ユークリッドがX=2mn,Y=m2-n2,Z=m2+n2の解を得ています。

   今回は、一般解を異なる3通りの方法で求めてみましょう。
   因みに、個人的にはディオファントス的方法が自然で解かり易く一番好きです。


     [1]:アンドレ・ヴェイユ:数論(歴史からのアプローチ)



2.解法



   (1). 因数分解による方法

      まず、X2+Y2=Z2に於いて、gcd(X,Y,Z)=1とします。
      X,Yが共に偶数、または奇数であることは出来ないので、X,Yのどちらかが偶数、奇数
      となります。
      それで、Xを奇数、Yを偶数とします。

      X2=Z2-Y2=(Z+Y)(Z=Y)
           上記の式でgcd(X,Y,Z)=1と仮定したので、gcd(Z+Y,Z-Y)=1である事がわかります。
      そこで、Z+Y,Z-Yは共に平方数でなければならない事がわかります。

      {Z+Y=m2,Z-Y=n2}として、Z,Yについて解けば

      Z=(m2+n2)/2,Y=(m2-n2)/2,X=mn となる。

      (m2-n2)2+(2mn)2=(m2+n2)2 

            Q.E.D. 

      
   (2). 幾何学的方法
   

[Maple Plot]

   X2+Y2=Z2 の整数解を求める事は、(X/Z)2+(Y/Z)2=1 の有理数解を求める事と同じです。 t,m,n:有理数 P(x):Pのx座標 Q(x):Qのx座標 Q(y):Qのy座標    ここで、円:x2+y2=1と点P(-1,0)を通る直線:y=t(x+1)の交点Qを考えてみましょう。    交点Qは連立方程式{x2+y2=1,y=t(x+1)}を解けば求める事が出来るわけですが、    x2+(t(x+1))2=1の式で、根と係数の関係より、点P(-1,0)は有理数なので交点Qは常に    有理数である事がわかります。    (t2+1)x2+2t2x+t2-1=0 根と係数の関係より、P(x)+Q(x)=-2t2/(t2+1)    したがって、Q(x)=-2t2/(t2+1)+1=(1-t2)/(t2+1) Q(y)=t(x+1)=2t/(t2+1) 即ち、((1-t2)/(t2+1))2+(2t/(t2+1))2=1 t=n/m を代入して式を整理すると    (m2-n2)2+(2mn)2=(m2+n2)2   Q.E.D.     (3). ディオファントス的方法 文献で確認していませんが、ディオファントスなら恐らくこの様にしたはずです。 X2+Y2=Z2 でY=m,Z=(X+n) とおけば X2+m2=(X+n)2 となる。 X について解けば x=(m2-n2)/(2n), X を元の式に代入すれば ((m2-n2)/(2n))2+m2=((m2-n2)/(2n)+n)2,式を整理すると (m2-n2)2+(2mn)2=(m2+n2)2 Q.E.D. 



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