1.はじめに

今回はA4+B4+C4=D4+E4+F4のパラメータ解について説明したいと思います。
先日、神保町の三省堂の洋書売り場でDickson[1]のリプリント版を見つけて懐かしく想い
家に帰り、徒然なるままにこの本を読んでいたら今回のパターンで面白い結果が載っていました。

(23x+57y)4+(40x-6y)4+(17x-63y)4=(23x-57y)4+(40x+6y)4+(17x+63y)4

上記の様に綺麗な対称になっていて、この様な単純な関係式が成り立つとは驚くべき事です!
逆に、対称だからこそ成立すると言ったほうが正確かも知れません。

早速他に解が有るか調べてみたら、美しい関係が有る事が分かりました。
さらに、パラメータ解は無数に存在します!

[1]. Dickson: HISTORY OF THE THEORY OF NUMBERS VOL.U

2.定理
      
      a1,a2,c1,c2 は整数とする。

   A4+B4+C4=D4+E4+F4 のパラメータ解は無数に存在する。


     A=a1x+c1
        B=a2x+c2
        C=(a1+a2)xc1+c2
        D=a1x-c1
        E=a2x-c2
        F=(a1+a2)x-c1-c2
  

   但し、下記の条件を満たすこと。

      条件

         c1=-c2(a1+2a2)/(a2+2a1)
         a1,a2はc1が整数になるように選ぶ。


     また特に、条件式で c1=-(2a2+a1),c2=2a1+a2 とすれば次の様な恒等式が得られる。

     (a1x-a1-2a2)4+(a2x+a2+2a1)4+((a1+a2)x+a1-a2)4=(a1x+a1+2a2)4+(a2x-a2-2a1)4+((a1+a2)x-a1+a2)4
   
     
証明

(a1x+c1)4+(a2x+c2)4+((a1+a2)x+c1+c2)4=(a1x-c1)4+(a2x-c2)4+((a1+a2)x-c1-c2)4

としてxの係数を0にするようにc1,c2を決定する。
展開して整理すると
  
x3の係数

16a13c1+8a23c1+24a12a2c1+16a23c2+24a1a22c1+24a1a22c2+8a13c2+24a12a2c2
=8(a22+a1a2+a12)*(2a1c1+a1c2+a2c1+2a2c2)


x1の係数

8a2c13+24a2c12c2+16a2c23+24a2c1c22+8a1c23+16a1c13+24a1c12c2+24a1c1c22
=8(c22+c1c2+c12)*(2a1c1+a1c2+a2c1+2a2c2)



c1,c2について連立方程式を解くと、次の様になります。

    c1=-c2(a1+2a2)/(a2+2a1)

従って、a1,a2を適当に与えてやれば、c1は整数になるのでパラメータ解は無数に存在することになります。



                  
       
3.調査結果

解は無数にあるのでいくらでも作れますが、係数が小さいものをいくつか示します。

    
1<=a1<=7,a2=1


        (x-5)4+(2x+4)4+(3x-1)4=(x+5)4+(2x-4)4+(3x+1)4

        (2x-4)4+(x+5)4+(3x+1)4=(2x+4)4+(x-5)4+(3x-1)4

        (3x-5)4+(x+7)4+(4x+2)4=(3x+5)4+(x-7)4+(4x-2)4

        (4x-6)4+(x+9)4+(5x+3)4=(4x+6)4+(x-9)4+(5x-3)4

        (5x-7)4+(x+11)4+(6x+4)4=(5x+7)4+(x-11)4+(6x-4)4

        (6x-8)4+(x+13)4+(7x+5)4=(6x+8)4+(x-13)4+(7x-5)4

        (7x-9)4+(x+15)4+(8x+6)4=(7x+9)4+(x-15)4+(8x-6)4




 


さて、冒頭に挙げた (23x+57y)4+(40x-6y)4+(17x-63y)4=(23x-57y)4+(40x+6y)4+(17x+63y)4 ですが

X=x/y とすれば (23X+57)4+(40X-6)4+(17X-63)4=(23X-57)4+(40X+6)4+(17X+63)4 となる。


(a1x-a1-2a2)4+(a2x+a2+2a1)4+((a1+a2)x+a1-a2)4=(a1x+a1+2a2)4+(a2x-a2-2a1)4+((a1+a2)x-a1+a2)4
上記の式で、a1=17,a2=23 とすると c1=-63,c2=57 だから

(17x-63)4+(23x+57)4+(40x-6)4=(17x+63)4+(23x-57)4+(40x+6)4 となり、冒頭の式が得られる。












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