僕が初めてビートルズを聴いたのは、中学2年生の時。

学校の昼休みに校内放送で流れたオブラディオブラダだった。

当時の僕はフォーライフに信奉していたので、

良くありがちなのだろうが、洋楽は頭ごなしに嫌っていた。


オブラディオブラダが校内放送で流れると僕は

『あー反吐が出る』、とか、『意味がわからない』とか

さんざんに悪態をついた。

誰に向かって言っていたのかは覚えていないのだけれど

その後のとても異様でショッキングな出来事の為に

この瞬間をとても良く覚えているのだと思う。


僕の後ろの席には地味な女の子が座っていた。

上田さんという、顔の青白い、おとなしい女子で、

休み時間は、ひとりで本を読んでいるような女子だった。

授業中に指されても か細い声でやっと答えるような、

クラスでは最も目立たない女の子だった。

僕はこの時まで彼女とは一度も話しをしたことがなかった。


悪態をついている僕に、上田さんが突然、話し掛けてきた。

『 この曲はね、運動会でよく聴くでしょ? 』

大人びた、とてもしっかりした口調で話しかけてきた。

『 この曲はね、ビートルズの曲なんだよ 』と彼女は言った。


『外人なんて、英語で意味が通じないから嫌いだよ 』と僕。


だけど、突然とても気になった。

運動会の曲をビートルズが作った事がすごいと思った。


それから家に帰って、FMエアーチェック。

ちょうどその頃は、頻繁にビートルズ特集なるものをオンエアーしていて、

1週間連続でビートルズを全曲流す番組企画もあった。


FMレコパルで初めて探すビートルスの文字。

特集を見つけてベランダでエアーチェック。


そしてツイストアンドシャウトに打ちのめされた。

あわてて何かが入っていたマクセルのカセットテープに録音した。

胸がドキドキした。

それからはとにかくビートルズのエアーチェックに明け暮れた。


数日してから学校で、

初めて僕の方から上田さんに話し掛けた。


『 ビートルズのレコードを買いたいんだけれど、何が良いか教えて 』

と訊いた。


上田さんは、丁寧にいろいろと教えてくれた。

だいたいこんな感じだったと思う。

『サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンドっていうレコードが

まとまっていて評価されているのよ。』

(彼女は主観的な意見ではなく、
客観的な評価という視点で物事を捉えていたようで
それだけで僕はとてつもない精神年齢の差を感じた)

『それから、サージェントの続編のように

アビーロードというレコードもあるの。これも良いわよ。

リボルバーも良い。

この3枚は、あまり有名な曲は入っていないけれど

レコードとして、良いって言われてる。

それからラバーソウルなんかも良いわよ。

私はね、個人的には、マジカルミステリーツアーが好き。

発売された時には、評判が悪かったみたいだけれどね 』



ざっとこんな風に、ビートルズのアルバムを紹介してくれた。

この話の中でグッドモーニンググッドモーニングの話や

アデイインザライフの歌詞の不思議な事や

ルーシー〜の薬との関係など

彼女は淡々と話してくれた。


地味で弱弱しく話す彼女が、この時はピカピカと光っていた。

この子はすごいと思った。

いつも無表情で白い顔が、この時は活き活きとしていた。


ちょうど僕の誕生日が間近だった。

それで母に言って、サージェントペパーズのレコードを買ってもらった。


それから僕は、いろいろと知識を吸収して、

ビートルズファンとして急成長し、

仕舞いには、クラスで自慢下にビートルズの話をしたりした。

上田さんと話をした事なんて、ぜんぜん忘れたまま。

自分でなにもかも発見したように公演した。

上田さんは、いつもずっと無口だった。


中学2年生の上田さんが説明してくれたビートルズのアルバムのことは

今でも適確だったと思う。そして魅力的だった。

僕はすぐに有頂天になったりせずに

もっともっと上田さんと話しをすれば良かったな。


いま、あの頃に戻れたら、上田さんと話をしてみたいと思う。

いろいろと知らないことを教えてくれそうな気がする。

そして今でも驚くような話題を教えてくれるんじゃないかな〜なんて思う。



グッドモーニンググッドモーニングは当時の僕にとっては問題外の曲だったけれど

数年前にビートルズアンソロジーで聴いた時、飛び上がった。

コーラスのないバージョンだった。

最初に聞いたときは何の曲だか思い出せなかった。

これほどスリリングでタイトな曲だったとは思わなかった。

それで一気に好きになった。


ビートルズの事を考える時に、ときどき思い出す上田さん。

このことを話をしたら、どんな事を言うのかなぁ・・・

もう一度上田さんと話をしたいなぁ

1970年

From me  20年前のチョコレートのメニュー

1968年11月

If there's anything that you want If there's anything I can doJust call on me and I'll send it alongWith love from me to you.
I've got everything that you wantLike a heart that is oh, so trueJust call on me and I'll send it alongWith love from me to you.
I got arms that long to hold youAnd keep you by my side.I got lips that long to kiss youAnd keep you satisfied, oooh.
If there's anything that you wantIf there's anything I can doJust call on me and I'll send it alongWith love from me to you.
Sha la la la la dun dun laFrom meSha la la la la dun dun laTo you.
Just call on me and I'll send it alongWith love from me to you.
I got arms that long to hold youAnd keep you by my side.I got lips that long to kiss youAnd keep you satisfied, oooh.
If there's anything that you wantIf there's anything I can doJust call on me and I'll send it alongWith love from me to you.
to youto youto you












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