プールが終わる日。



2500メートルほど泳いで、
くたくたになって、
プールサイドでウトウトしてしまいました。

照りつける太陽の下、
裸のまま安心して眠る事ができるなんて
そんなにいつでもあるわけじゃないって事、
感じながらね。


だけど3時過ぎになって、
突然帰りたくなった。

自分でも訳が判らなかったけれど、
僕はすくっと起きてTシャツを着て
デイバックを引っ掛けてプールを後にした。

まだみんな泳いでいた。

更衣室で着替えて外に出る。
管理室のおばさんは毎年のお馴染み。

歩きながらフェンス越しの50メートルプールを振り返る。

そして思い出した。


昨年の夏もプール最後の日に来たんだって事。


昨年の僕は5時まで泳いでいた。
そして最後にアナウンスが流れた。
『本年も当プールをご利用くださいまして、まことにありがとうございます。
 当プールは本日で閉館いたします』


昨年は、このアナウンスを聞いて、とても淋しい思いがした。
こんなアナウンスは聞きたくないと思った。

プールの終わりは大好きな夏の終わりの宣言だったから

それで、たぶん昨年の僕が、
今年の僕のところにやってきて、
"アナウンスの前に帰りなよ"
って教えてくれたのだと思う。

それでわけがわからないままプールを後にしたのだと思う。

外から見るプール。
まだみんなが泳いでいた。

僕は終わりまでいないことを誇りに思った。
僕は自分の意思で、大好きなプールとお別れをしたんだ。
さよなら2008夏の日と
自分でけりをつけたんだ。




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