野球部で万年補欠だった僕。
引退の年のバレンタインデイに
マネージャーが僕にチョコをくれた。
懐かしいチョコバットとチョコボールだった。
汚い字のメモが入ってた。
『何度でも投げるから・・・空振りしても良いんだよ^^』
仕事が無くてフラフラしている頃だった。
知り合った娼婦が、バレンタインデイにマフラーをくれた。
『安物だから』って、申し訳なさそうに言ってた。
一度も使わないまま、一度も手にしないまま。
それから仕事が見つかって、人並みに恋をして家庭が出来た。
子供が二人できて、マイホームを建てた。
引っ越しの時にタンスを整理していたら
安っぽいマフラーが出てきた。
マフラーの端っこにへたくそな文字で
メッセージが刺繍してある事に気が付いた。
『ずっと首に巻きついててあげてもいいよ』
母は仕事に出かけた。
僕は初めてひとりで留守番をした。
友達が遊びにきた
玄関に行くと、ハートのついた小さなチョコレートが置いてあった
友達が気が付いて 『なんだこれ、ダッセー』 と言った
僕はあわててチョコレートをひねりつぶした。
『こんなの知らねーよ、汚ったねー!』
と言いながら、ハートチョコにつばを吐きつけてゴミ箱に捨てた。
夕方になって友達が帰った。
淋しくなったころに母が帰ってきた。
内職の仕事を両手に山ほど持っていた。
母が言った。
『帰ってきたらお前に渡そうと思っていて、
玄関に忘れて行っちゃったよ〜
チョコレート食べたかい?』
あの頃に戻ってあやまりたいよ あの頃の人たちに"ありがとう"って言いたいよ
ラブチャット ファンシー
バレンタインデイに泣いてしまうのは、きっと君だけじゃないさ
ビジネスホテルの地下駐車場
何に追われてきたのかも
わからなくなってた
疲れ果てて俺たちは
コンクリートの上にしゃがみこんだ。
ダメなお前が
ダメな俺によっかかってきた
安っぽいコートのポケットから
チョコレートがひと粒。
俺の口に無理やり押し込んで言ってた
"あんたがいなくっても さみしくなんてないや (=´;ω;`=)ニャン・・ "