2003年1月 東京砂漠、伊豆大島 (3)
注) このページは、ISDNとかだと読み込みに多少時間がかかります。
5: みんなで登ろう三原山(謎)
タクシーは三原山頂口という所まで行く。あとは徒歩だ。
ところで、この私、山に登ることがわかっていながら、運動靴を買うのを怠けていて忘れてしまっていた。
というわけで、革靴で三原山に挑戦することになった。まさに登山をナメてます。自分。
ルートとしては、下図の通り【非拡大】。
三原山頂口−−(表ルート・45分)−−山頂到着、山頂一周40分−−(裏砂漠ルート・60分)−−山麓のホテル到達(食事・温泉)
という感じ。合計3時間弱の登山ルート。
これに関しては、言葉よりも写真を見て、いや実際に見に行かれることをお勧めします。
ちなみに、3時間ほど山を歩いていましたが、誰ともすれ違うことはなく、人影すら見ませんでした。シーズンオフとはいえ、これは意外だ。見渡す限りの広野原に、いるのは自分ひとりだけ。
周囲1km四方には、ほかに人間は存在しない、という世界。
大声で歌っても誰にも気づかれることはない、という世界。こんなことが、東京からわずか25分の場所で経験できてしまう。
ただ、山頂に行くと、さすがに携帯の電波が遠くなる。これは仕方がないが。
つまり、助けを求めることができないのだ。
100%自己責任、の世界に放り込まれる。では、山頂までの登山道での写真をいくつか。
↑ 三原山頂口(スタート地点)からの三原山。溶岩の跡が。【非拡大】
山頂に着くと、こんどは一周40分の周回道路に出る。ここの景色がまた圧巻だ。
ところで、いくら穏やかな日でも、山頂ともなると風が強い。汗をかくと思って薄着してきたのは失敗だった。冷風がこたえる。冬に行くなら、厚着してきたほうがいいかもしれない。
この山頂周回路での写真をいくつか。
【非拡大】
そして、1986年噴火の溶岩流が残る砂漠地帯を通る「裏砂漠ルート」へと突入。
このルートは国立公園の敷地内にあたるので、車はおろかバイク、自転車の乗り入れは禁止されている。にもかかわらず、遊歩道の全線にわたってジープのわだちがあるのはどういうわけだ(・_・;
裏砂漠コースに入って100mほどすると、NTT DoCoMo の機械 がデンと置いてあった!
おお!素晴らしいではないか!これで裏砂漠地帯も通話エリアになるんだね!
まさに通話エリアは地球です、のイリジウム(←倒産した・・・)の遺志をひきつぐ企業がここにあった。ドコモ使いの自分としては非常に嬉しい。
うれしさのあまり、この機械のまん前で携帯をかざしてみる。
アンテナ2本しか立ってないんですけど?
だめじゃん、みたいな。
なんのための機械なんだ?ところで、話を戻すと、この「裏砂漠ルート」、実は砂漠をほとんど通らない。
砂漠の上に積もった溶岩流の上を歩くことになる。
しかし、それにしても本当に静か。ひっきりなしに上空を通るジェット機 (大島上空は西日本路線のメインルート)の音とかカラスの鳴き声、それと風の音以外は、文字通り「シーーーン」という世界。
都会では、まず耳にすることができない。
そして、溶岩地帯が終わると、とたんに一面、すすき野が広がる。
このススキは高さが1mくらいあって、、一歩道を外れると本当に迷いそうになる。
このあたりから、ドコモの携帯は圏外地帯になる(だめじゃん!!)溶岩地帯も月面みたいだったが、このすすき野原も地球離れしている。
簡単にいうと、死後の世界を見ている感じ。1km弱のすすき野原が終わると、今度は林の中を通ることになる。
これは、正直いって恐かった。
もちろん携帯は圏外。
おまけに、茂みの中からガサガサと音がしたりする。
はっきりいって、生きた心地がしない。一人では正直、恐い。このあと、さらに緑は深くなり、森のようになる。
もちろん恐いのだが、その森の中に入ったとたん、急に心地がよくなった感じがした。
マイナスイオンか何かの影響か?森の中に迷いこんだアリスを体験したいなら、ここはおすすめかもしれない。
この森林の道が、だいたい600mほど続く。
6: 三原山を望む露天風呂
さて、この森を抜ければ、大島温泉ホテルという旅館の裏手に出る。
3時間にわたる三原山登山の終幕である。しかし驚いたことに、このホテルも全館、ドコモの圏外なのである。
大島では有名なホテルなのだが。どうしたことか。このホテルで昼食をとる。
ここのホテルの食堂は、1,500円のコースをたのむと10品くらい出てくる。
東京のホテルからすると、驚くほど安い。食事をした後、このホテルの中にある露天風呂へ。
ここの露天風呂は、三原山を望む。タオルは、フロント横の売店で売っていた。1枚150円というのは、まあまあの値段か。
7: 帰る
さて、全目的を達成したので、あとは帰るだけだ。
このホテルから、港へ行くバスの時間が迫っていたので風呂は10分ほどで出る。このとき、時間は午後2時前。
そんなに急ぐ時間でもないだろ、って思われるかもしれない。しかし、この島から東京へ向かう交通機関は、船にしても飛行機にしても、最終便が午後の3時台なのだ。「午後の4時に大島にいる」ということは、すなわちその日のうちに東京に帰ることができなくなる、ということを意味する。
元町港という港(冒頭の写真にある港)から、東海汽船のジェット船が出ている。
船の最終便は3時15分。なぜ3時15分なのか。
東京まで2時間もかからないのだから、夜の6時頃にも船を出せばいいではないか?と思いきや、大島のバス路線も、最終が3時過ぎなのだ。
だから、これ以上船の最終便を遅くしても誰も集まらない、ということになる。
そういう世界なのである。
東京に向かう船は、最近新しくできたセブン・アイランド号(伊豆七島からきている名前)という船で、時速80kmは電車とだいたい同じ。そして、走行中はリニアモーターカーのように水から浮いて走るので、ほとんど揺れがないというスグレモノだ。
全席指定の予約制。
私は、事前に窓側を指定したので、窓側の座席だ。決められた座席に行ってみると、隣の席(通路側の席)にオッサンが寝ていた。
この船は、大島始発ではないらしい。
さらに、自分の座るはずの座席の上にカバンと、BOSSを置いて眠っていた。仕方がないのでオッサンを起こし、荷物をどけるよう指示を送った。
逆ギレされるかと思ったが、すんなり荷物をどけてくれた。荷物は荷物棚の上に、BOSSは窓際のスペースに置いた。
しばらくして、船がエンジンを入れ、船体が小刻みに揺れはじめた。
すると、窓際に置いてあったBOSSが動いて、だんだん自分のほうに接近し、落っこってきそうになった。(・_・;;;
とまあ、いろいろありましたが2時間後、無事東京の竹芝桟橋に到着。
本土復帰を果たした。(?)飛行機なら25分。船なら1時間45分。
料金、便数は、ほとんど同じ。なのに、大半の観光客が船を使う。
どうしてでしょうね??
総括。
東京と大島とでは、時間の経ちかた、人間のしゃべるスピードなどなど、いずれも3倍違う。
東京に一番近い島なのに、誰も見向きもしないこの伊豆大島。
東京人でなくとも、一見の価値アリ。現実が、夢になる。