'98冬 突発道南一人旅 (4)


9. 2日目の朝

部屋のアラームは 6:45 に、そして部屋の電話でのモーニング・コールは 6:50 に、それぞれセットしておいた。2日目は、朝の8時過ぎにホテルを出て、タクシーに比べて安い中央バスに乗って千歳駅へ出て、そこから一駅先の「南千歳」駅まで行って、そこから特急で函館まで3時間、北海道の車窓を眺めつつ駅弁を味わうという計画を立てていた。もちろん、特急の指定席窓側はGET済みだ。特急は 8:57 に南千歳の駅を出る「スーパー北斗6号」。

朝6:45 。アラームがピピピピと鳴る。どうやって止めたのかは覚えていない(笑)

朝6:50 。枕元にある電話がプルルルと鳴る。一旦受話器をあげ、また下ろしたのだけは覚えている。(笑)

朝 8:10 に親から携帯に電話があったらしいが、寝るときは電源を切って寝るので当然無反応(笑)

しばらくして、目が覚める。この時点で、ひょっとしたら、という気持ちはあった。その考えは現実のものとなる。時計は 8:35 だと言っていた。旅行先で初めて寝過ごす。

しかし、まだ眠かったせいか、ほとんど焦らない。 「スーパー北斗6号」には無理だが、1時間半後に「北斗8号」がある。それに乗ればいいや、とノンビリ過ごし、計画練り直す。 指定券は無効になったが、後続の特急の自由席には、その指定券で乗ることができる。余計な出費は必要ない。ただ、座れる保証がないのが恐い。しかも、通路側では面白くない。車窓を見るのも今回の目的の一つではあった(笑)

もともと2日目は、ほとんど列車に乗っているだけであり、初日ほどアクティブに動くことはないと分かっていたので、寝坊して観光の時間が少なくなる、という心配はなかった。しかし、帰りの飛行機の時間はギリギリになってしまう。もし空港まで行って航空券が取れなかったら、寝台特急で帰らなくてはならない。そうすると、余計に2万円ほどの出費。冗談じゃない。 市内にも航空券販売所はたくさんあるが、スカイメイトは出発空港や一部の大都会でしか搭乗手続きができない。それでも、青森空港まで発券を我慢する。

ホテルを出る。ちょうど中央バスが出てしまった所だった。仕方なくタクシーを使う。この運転手も、私に話し掛けてきた。

「今日は本当に暖かいね。そこに温度が表示されてるんだけど、、ちょっと見えないや」

市内には、あちらこちらに温度表示がある。北の人は、気温の話で盛り上がることが多いらしい。東京では、天気は気にしても温度はさほど気にしないのではないだろうか。

車が前に進むと、温度表示が見えてきた。「5度」とある。それを運転手に伝えると、

5度 か、どうりで暑いわけだ」 とのたまう。暑いというのは誇張だとしても、北海道で朝の気温5度は、たしかに暖かい部類に入るかもしれない。雪が解けてきている。 普段からアメダスのホームページで見ていると、北海道地方は、昼でもだいたい3度以上には上がらない。函館や室蘭あたりならまだマシだが、札幌は180万都市とはいえ、寒さは容赦なく襲う。北海道で一番寒いのは旭川・名寄あたりらしい。

車は千歳駅につけられ、ここから南千歳まで各駅停車。「苫小牧行き」。東京では見ることができない。

10. 北海道の車窓

南千歳で一旦改札を出て(普通、切符は途中下車が出来る。片道100km以内の切符とか、東京近郊区間内の切符などは例外的に途中下車ができない。 途中下車は出来ないのが当たり前だと思っている人も多いはず) 、駅弁を買う。「かにちらし」という、千歳ローカルな駅弁だ。これとペットボトルを買う。 この日の「北斗8号」は、なんと5両編成。しかも禁煙の自由席車両はたったの1両。なんでだぁぁ〜〜(嘆) 10:16 南千歳出発。

予想通り、窓側は全部埋まっている。仕方なく通路側に座って、黙々と駅弁を食べる。あまり美味くない。やっぱり窓側でないと駅弁は食べた気にならない、というのが私の定説(笑) しかし、次の苫小牧で乗客がけっこう降りる。荷物をまとめて窓側席へ移動。GET! とたんに駅弁が美味く感じた。

登別、東室蘭と停まっていく。このあたりから、進行方向に向かって左が海、向かって右が別の惑星という車窓の組み合わせになる。

東室蘭から長万部あたりは、北海道でも比較的温暖な気候のせいか、雪は山の上にちょっと見られるだけであった。駒ヶ岳が見えると、もうじき函館である。

函館到着、13:25 。 南千歳から3時間以上。特急をもってしてもこの時間なのであるから、北海道の大きさが想像できよう。現に、北海道は関東地方の3倍の面積を持つ。札幌〜函館など、北海道のシッポの部分に過ぎない。しかも、札幌〜函館は列車だけでなく定期航空便が、毎日10便も行き交っているのである。 北海道の端から端まで行くには、鉄道を使えば、まる1日かかる。

函館での滞在時間、たったの50分(笑) 寝坊のツケはここに来た。これではどこへも行けない。函館山はおろか、摩周丸・元町・正ハリストス教会・トラピスチヌ寺院・朝市・五稜郭 どれをとっても、50分で行ける距離ではない。仕方なく、ここでは買い物に興じる。駅構内の土産物店でいろいろ買う。函館カレー・札幌ラーメンを少々。

函館といっても色々見所はあるが、やはり一番のお勧めは「函館山からの夜景」。夜になると、湯の川温泉の主な旅館からは夜景鑑賞ツアーバスが出るので、要チェック。 「どうして函館の夜景だけ100万ドルの夜景なんだよ」、と思っていた私も、行ってみて納得した経緯がある。 函館・香港・ナポリは、世界3大夜景都市。 誰が決めたのか知らないけど(笑)

函館からは、青森まで快速・海峡8号。 この前には特急はつかり号盛岡行きがあるが、「青春18きっぷ」が使えないので海峡号の自由席に乗ることに。

海峡号は、電車ではない。ブルートレインと同じ客車である。つまり単独では動けなく、機関車が無いと走ることができない。まあそんな事はともかく、動けば何でもいいので乗り込もうとする。

ところが、自由席満員! なぜ??

1号車は座席。全部埋まっている。2号車は座席ではなく、カーペットが敷いてあるだけのお座敷列車ばりの車両。こんな所には座りたくないし、しかも座れるスペースなどなかった。あとは全部、指定席。 これはヤバいと思い、再び改札を出て、泣く泣く510円払って指定券を買う。窓側取得。ラッキー! (この列車は、青春18きっぷでも指定席に乗ることができるので問題なし) 余談だが一つ前の「海峡6号」は、指定席まで満員だったそうだ。 おそらくJR北海道の中でも、有数のドル箱列車なのだろう。

海峡号のキャラクターはドラえもんらしく、車体の至るところ(といっても1両片側に2箇所)にドラえもん関係のキャラ(ジャイアン・のび太等)の絵がある。夏休みには、ぬいぐるみのドラえもんが車内を闊歩し、また子供たちと戯れて遊んでいたそうである。

函館発車。これで、北海道ともそろそろお別れ。乗客は、ほとんどが地元の人らしい。 ここでハプニング起こる。荷物棚の荷物が落下し、通路側の客の頭に当たるのである。一時は騒然となったが大丈夫だと分かるや雰囲気は一変し、「自分が誰だか分かるかい?(笑)」「今どこにいるかわかる?ここは函館だよ(笑)」とのやり取りで、和んでいた。一段落。

<この辺でページ替えた方がいいかも知れないですけど、もう少しなんで続けたいと思います。>

11. 青函トンネル〜青森県に

快速海峡号、青森行。 海峡号は、もちろん青函トンネルを通るが、函館を出てすぐにトンネルに入るわけではなく、しばらく北海道を走り続ける。函館を出て20分ほどは、左手に函館山を見ながら進む。しかし、いつの間にかその函館山も見えなくなった。それでもまだ、北海道の陸地を走る。この沿線で面白かったものといえば、青函トンネルから東北新幹線が出てくる絵とともに、「北海道に新幹線を!」 とか書いてある看板であった。 函館空港を使えばいいじゃないか?(^^; 東京から函館までなら、新幹線をもってしても5時間半はかかるだろう。 また、似たような絵なら、ほかでも随所で見かけた。これが実現すれば、東京駅を出る「やまびこ31号 函館行き」など見られるかもしれない。もっとも、2月頃だったら函館から東京にやってきた新幹線が、屋根の上に雪を1メートルくらい積もらせているかも知れず、それはまたそれで面白いかも(笑)

函館出発後47分、木古内という小さな駅に停まる。ここを出て、次の知内駅を通過すると、40秒ほどで青函トンネル突入である。もちろん、トンネル進入前には車掌による説明がある。(40数年の年月を経て云々)

車内には、電光表示(?)によるトンネル内位置確認表示もある。しばらくして、吉岡海底駅到着。駅とはいっても、何も無い。明かりすらもない。あるのはトンネルから出ている何本かの通路だけ。ここで降りられる人は、事前に 1,900円を払って券をもらった人たちに限られている。 青函トンネルは、数十分で抜ける。既に外は暗くなっていた。津軽半島を30分ほど走って、青森駅到着。自身初の青森県!(私事^^;) 本当は、98年の正月に青森県踏破のはずであったが、予想外の新幹線の遅れ(3時間半も車内に閉じ込められた)により、盛岡以北の行程は断念したということもあり、懸案だけあって個人的には感無量でした(笑)

青森駅に着くと、おみやげを買う暇もなく空港バスに乗らなくてはいけない。よって観光は一切出来なかった。強いていうなら、駅前にあった「青森ベイブリッジ」を見たことぐらい。しかし名前だけではなく、現実に壮観なものであった。時間によってにライトアップされるそれは、本家横浜ベイブリッジにも劣らぬ美しさである。 しかし、本家と違うのは周囲の風景である。 横浜のほうは、海岸線の向こうに凛として(謎)懸けられているが、青森はというと、駅前にあるのである。青森は駅前がもう海岸線なので(津軽海峡)、こうなっているらしい。ただ、駅前のバスターミナルに立っていると橋は確認できるが、駅舎が邪魔してよく見えない、という寒さが、北国の寒さに輪をかけていた。

すぐバスに乗り込んで空港へ。空港到着は、乗る予定の飛行機が出発する30分前だった。カウンターに走り、切符を求める。 運良く窓側まで取れたりする。とにかく、取れてよかった。当然マイルも貯める。帰りはANA便であった。スカイメイトなので、青森〜羽田 9,550円! こんな差し迫った時に、半額で航空券が買えるのも、あと2ヶ月半(98年12月現在)か。。

急いで手荷物検査を抜け、搭乗ロビーに座る。しばらくして、呼び出しを食らう(笑) 病院とかならともかく、空港で呼び出しを食らうのは初めてなので、なぜか照れる(笑) 係員の所へ行ってみると、「お釣りを忘れた」という内容のものだった。

12. 帰還。

飛行機に乗り込む。この日はガラガラで、窓側以外誰も座っていなかった。離陸のときの加速度は、羽田に比べてやや激しい。滑走路が短いためか。いかにも「飛行機の離陸」といった感じ。羽田だと、新幹線がそのまま飛ぶような感じがする。飛行機恐怖症の人は、羽田から乗ってみるといいかも知れない。

夜の飛行機は、窓の外が本当に素晴らしい! なにしろ、日本各地の夜景が、ことごとく眼下に現れてくる。(ただし、晴れの日に限る。当たりまえ) 機内で窓にへばりついて見ていると、CA(スチュワーデス)さんが地図をもって私の所へやって来て、「ただ今、水戸付近を飛んでいます。あそこが海岸線で、、」 と親切にも教えてくれた(^^) 感動した。客数が少なく、サービスが行き届きやすいとは言え、このような Additional Service は利用者の心をつかむ。某ホテルも学んで頂きたい所だ。(私は、どこの航空会社を応援しているというわけでもなく、これが率直な感想。)

東京の広大な夜景に吸い込まれるように(笑)、飛行機は高度を下げていく。しばらく東京上空を飛んだ後、首都高速湾岸線・東京港トンネルの排気孔が見えたかと思ったら、いきなり着陸。ターミナルビルに近い滑走路に着陸できたので、すぐに飛行機を降りることができる。青森離陸から70分。

ほとんど突発的、感情の赴くままに企画したこの一人旅も、こうして無事に終了!

 

最後まで読んで下さった皆様、ありがとうございました。 一つでもお役に立てる情報が見つかったなら、それに勝る喜びは、、まああるでしょうが(^^;;; 、、でもとっても嬉しいです。

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