Jリーグはなぜ成功しないか
日本代表。
ナショナル・チーム。
日本代表の試合ともなれば、人はテレビの前に群がり、またある者は実際に中東などに出向くこともある。
国立競技場でやる、ともなれば、観衆は5万を数え、ワールドカップ行きがかかれば、その盛り上がりはここに書かずとも知れているであろう。
そんな日本代表選手、普段はJリーグというところでプレーしている。Jリーグは、別人がやっているわけではない。
そんなJリーグができたのは、たしか1995年くらいであった。
当初、「私はカズがいるから読売ヴェルディを応援するわ」
というファン、「横浜だからマリノス」というファン。いろいろいた。
いま、彼らの存在はほとんど無い。
これはむしろファン層が健全化した、ということだろうか。
しかし、5年経ち、トップチームは海外のリーグにも劣らぬプレーで評論家の絶賛を受け、人気を定着させつつある一方で、大半のチームは観客数の伸び悩みに悩んでいる。Jリーグはプロ野球のように、変な確執もなく、地元フランチャイズ制を目指す、非常に健全なリーグであるのにもかかわらず、だ。
それはなぜか。その原因は、Jリーグ発足初期にあった。
「Jリーグカレー」。
「Jリーグふりかけ」。
「サッカードラマ」。
おそらく、この3者によるところが大きいと推測される。
要するに、これらの存在が、
「Jリーグ=チャチい」という先入観を、サッカープロ化間もない日本の国民に与えてしまった。
無論、海外でのサッカーは「チャチい」という言葉では表すことができない。
下手なプレーをしたら、新聞、民衆から叩かれ、ひどいと客席から物が飛んでくる。前2者は、あの、
「雅夫、Jリーグカレーよ」、というセリフで有名な、あのCMだ。
ラモスが張り切ってCM出演をしたが、残念ながら逆効果となってしまったようだ。そして、ラモスはこんなところでも商品価値を下げられた。サッカードラマでのことである。
「オレたちのオーレ」「もうひとつのJリーグ」・・・こんな名前のドラマが、Jリーグ初期にできた。
当時、Jリーグ大人気により、急きょドラマを作ることになったのであるが、
あるとき、興味本位でチャンネルを回したところ、こんな会話がTVで繰り広げられた。食膳でのある家族(橋田ドラマ風)の会話−−−
主婦1 「あのモスラってのがいるチームよね」
主婦2 「違うわよ、モスラじゃなくてラモスって言うのよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ラモスは、その商品価値を60%下げ、強制評価減を受けた。
マスコミに頼り、流行に乗ろうとする日本国民。
さしもの日本国民も、このような低俗な会話の前では呆れざるを得なかったのであった。
しかし、これら3者は、別の意味で多大な貢献をした。
ミーハーファンを、ひとまずサッカー界から一蹴することに成功したのである。
そして、一部のミーハーは、イタリア・セリエAなどのリーグに進出しようと試みる。
ジェラートを食べて、ドゥオーモを見て、サッカーを見るのが通、などといわれたこともあった。食品メーカーには、早急に
「セリエAふりかけ」
「ブンデスリーガふりかけ」
などの制作をお願いしたい、と思った昔からのサッカーフリークも多かったことだろう。
ともかく、ミーハーの一掃、これは大きなこと。
ひょっとしたら、5年後にJリーグは非常に健全なリーグとして成功しているかもしれない。
そうなるかどうかは、選手の努力にかかっている、といえよう。