赤城大沼の写真

わかさぎ雑学 榛名湖の湖水循環

夏の停滞期(8月)について

8月の水温の写真

 群馬県衛生環境研究所の御好意により、平成12年度湖沼水質調査の中から榛名湖の8月15日~12月12日の数値をグラフ化しみました。 夏の停滞期から秋の循環期を経て冬の停滞期へと向かう様子がわかります。

 

 手元にある資料(1970年頃)によると、榛名湖は1月~3月に40cm以上の厚みで結氷し、4月と10月~11月は春秋の循環期、夏の停滞期では表層温度が22~25℃、底層水温は10℃前後であり水深6~10m付近に変温躍層がみられるとのこと。また、夏の停滞期には水深13m以深では無酸素領域がみられるとありますが、2012年のデーターでは水深12mでも無酸素状態なのが読み取れますね。(8/16 95mmの降水)

 

 湖沼の中は、風により起きた表層の波が下層まで伝播したり、モーターボートの撹拌などでも揺らぎや変動が起きるので一概に分析はできないのですが、このデーターから8月の榛名湖は、明らかな夏の停滞期にあると判断出来ます。また、このデーターを補完するのに、天候や降雨をアメダスの数値を参考にしています。榛名湖の気象データーは県立榛名ビジターセンター付近(1088m)より降水量を用い、気温については約13Km北の中之条町(354m)の観測気温から逓減率にて榛名湖の気温を推測(-4℃)しています。(逓減率=0.5~0.7℃/100m 植生が豊かで湖畔の観測点なので、0.55℃/100mで計算 )

夏の停滞期(9月)について

9月の水温グラフの写真

 毎年9月1日になると、赤城大沼と榛名湖のワカサギ釣りが解禁となります。この時期の関東平野はまだ暑く、お彼岸前の館林市や前橋市では35℃を超える日もみられ、熱中症や熱射病の話題がTVニュースで放送されるなど、ワカサギのイメージとは程遠い感じがありますね。

 

 この時期の関東平野北端部では残暑が厳しい季節ですが、お彼岸を過ぎた中之条では日平均気温が20℃を割り込はじめ、月末までに約5.0℃程気温が下がります。標高のある榛名湖周辺では10-15℃程度であろうと推測出来ます。気温の低下に即応できない湖の水は、夏の温度をまだ保っていますので、冷気に良く冷やされて下層との間で対流が起き始める頃なのかもしれません。

 

 榛名湖でも赤城大沼でも解禁直後は良く釣れます。大型の魚に追われて水面近くを逃げ回る姿を見かける事もありますが、この時期に良く釣れる水深は8m前後です。これより大きく深いと無酸素領域になってしまいます。ワカサギは表面を回遊する魚群より水温躍層付近を回遊している群れの方が安定した釣果が望めると思います。

 

 『棚をとる』と聞くと、魚群探知機やカウンター機能の付いているリールや電動リールがないと難しいと思われがちですが、ドラスティックに考えるなら『棚は8m、仕掛けの長さが1mだから繰り出す道糸を7m程測ればいいだけ』の事です。具体的には、自分は両手を広げたら(1ヒロ)1.5m。だから4回(4ヒロ)測れば6mと半分という感じですね。初秋に解禁を迎える湖沼では、金や赤い色の針だけでも釣れてしまう事が多いので、細部まで拘る必要はないと思います。構えることなく、もっと気楽に・もっと穏やかに避暑を楽しまれてはいかがでしょうか?

秋の循環期(10月)

10月の水温写真

 10月になると、北関東の平野部でも暑さが収まり、過ごし易い日が続くようになりますね。10月の榛名湖周辺は日が経つごとに平均気温が下がり続け、最低気温が2℃~4℃という日も見受けられます。1日の最低気温が8℃を下回ると紅葉が始まるといわれていますが、この時期に出かける榛名湖のワカサギ釣りでは、日を追うごとに色付く素晴らしい紅葉を眺める事が出来るのも魅力ですね。

 

 

 湖畔の木々が黄色やもみじ色に染まり始める10月中旬になると、9月に800匹・1100匹と釣れていたワカサギも100~400匹程度の釣果へと数字が落ちてきます。これは、9月に大多数が湖から抜かれる事が大きな理由だと思われますが、表層ー中層間で起こっていた対流から、生息可能な領域の拡大が大きく寄与していると思われます。

 

 

 秋の循環期が終わるまで、ワカサギ釣りの棚は徐々に深くなってゆきます。10月は大凡8-10m付近で釣果が得られる感じでしょうか。榛名湖の最大水深は約14mで、湖底は赤城大沼に比べて平坦な地形です。印象的期にはお皿のような格好をしているので、湖底から湖畔へと駆け上がる水深8-10mの斜面を集中的に狙うのが良いでしょう。

       

秋の循環期(11月)

11月の水温の写真

 11月は下層まで対流が到達する季節です。グラフでは11月10日~18日の間に湖底の酸素濃度が上昇しているので、湖水全域に対流の範囲が行きわたった事になりますね。面白いのは水深14mの酸素は、水深12mから約7日遅れている事です。夏の水温躍層下にある無酸素層の水深は定かではありませんが、2mの水深の水が対流を起こすのに1週間かかるとするなら、ワカサギの回遊層の下(9m)を仮に無酸素層の天井とするなら、11月11日から3m分(約11日)溯った10月末には9m付近での対流が起きていたと推測出来ます。したがって、『紅葉が真っ盛りの時期にはわかさぎの棚も10m前後になる』と思っていいでしょう。

 

 さて、グラフ中の11/11の14m水温は、長い間8℃をキープしていたのに11/10から1週間で10℃まで上昇しています。水温が低い方が比重が重い為に簡単には混ざり合わないのですが、10日以前の1週間は水温の上下動がある事から強い対流が起きて水深12m(11℃)の水と混ざり合う事で水温が温まったものと想像できます。イメージし易いのは、湯船で冷めた底の湯を温かい上層のお湯とかき混ぜると、温くなるイメージですね。

 

 同じように水深12mをみてみると11/02からグラフが上下しながら11/11に最高水温に達しているので、この間が上層部との対流が起きたと推測できます。このように10月末~11月中旬は湖水の対流が激しいので、釣果を伸ばすには十分な情報が必要ですね。湖畔の貸しボート屋さんで情報を得るのが一番ですが、このような湖水の動きも考慮すると良いと思います。

冬の停滞期(12月)

12月の水温写真

 秋から冬へと季節が進むとなかで起きた湖水の対流で、湖底まで酸素と温度が行きわたると、魚たちの活動の場も夏の停滞期に比べて大きく広がります。秋の循環期で下層の水温は一時的に上昇しますが、気温の低下と共に湖全体が徐々に冷やされると水の最大比重である4℃の水が湖底に溜まり始めるます。また、酸素も上層からやってくる新鮮な水により徐々に高くなってゆくのです。

 

 ここでは平成12年のデーターを用いていますが『湖の循環期や停滞期に何度になったから○○』という決まりはなく、湖水の温度がが表層から湖底まで一様になったら停滞期みたいな感じです。また、秋の循環期は夏の温度の貯め具合や冷え込みによって左右されるでしょうし、台風や極端な降雨によっても時期が前後するでしょう。水の動きは出かける先の湖沼によっても異なりますし、河川を元に作られたダム湖では全く違った状況になっています。

 

 『釣り具屋や釣り宿で聞けば、万事OK』という声もあるのですが、出かける先の情報は知っておいて損はありませんよね。釣り具店や船宿での情報以外の場所で釣る時の参考になればいいのですが。。。『もう少し深い所なら釣れるかも?』と、せっせとボートを漕いで移動しても、魚の住めない無酸素領域を釣っていたら徒労に終わってしまいますもの。

       

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