情報シート
 
ダイオキシン:ダイオキシン再評価科学の要旨
 
   環境保護庁(EPA)及び他の連邦機関・一般的科学界からの科学者は、1991年以来ダイオキシン被ばくと人間の健康への影響に関する再評価を行ってきた。この情報シートは、「2,3,7,8-テトラクロロベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)及び関連化合物に関する被ばく及び人間の健康の再評価」という題名の、再評価草稿を要約する。
 
   用語「ダイオキシン」は類似した化学構造及び作用様式に関し生物学的特徴を共有する一群の化学化合物をさす。合計で30種類のダイオキシン様化合物が存在し、密接に関連する一族である:塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン類(CDDs)、塩化ジベンゾフラン類(CDFs)、ある種のポリ塩化ビフェニル類(PCBs)。用語ダイオキシンは最も良く研究され、最も有毒なダイオキシン類の一種、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)にも使う。CDDs及びCDFsは意図して作られないが、自然で及び多数の人間活動によって偶然作られることがある。塩素漂白パルプ及び紙、ある種の化学物質製造と加工、他の化学工程の全ては、少量のダイオキシン類を作ることがある。PCBは米国でもはや製造されていないが、電気製品で冷却剤及び潤滑剤として以前は広く用いられていた。
 
ダイオキシン類による危険を合計する - 毒性等量法
   ダイオキシンは同じ様な方法、すなわち「共通の毒性機構」で毒性影響を生じると信じられている。結果として、EPAや他では、人間が曝される複雑な環境中の混合物を評価するために、個々のダイオキシン類の毒性をいっしょに合計する方法を使用している。ダイオキシン類は毒性の力で異なるので、混合物中の各成分の毒性は全般的な毒性を推定するのに計算しなければならない。そうするために、科学者の国際チームは異なるダイオキシン類の毒性を比較する毒性等量係数を作っている。これらの係数を仮定して、混合物の毒性は毒性等量で表現できる。それは混合物中にある全ダイオキシンの有毒な影響を組み合わせたものに等しいTCDD量である。TEQ法の使用はこの再評価中の多くの結論が根拠とする重要な仮定である。
 
ダイオキシンの毒性
   この再評価は利用できる全情報に基づいて、ダイオキシンは人間で幅広い悪影響を生じる可能性のある、強力な動物毒物であることを発見した。ダイオキシンは多種類の影響を導く可能性を持つやり方で、細胞の基本的な成長と発達を変えることがある。例えばこれらには、生殖と発達への悪影響及び免疫系抑制・クロルアクネ(時には数年間続く重度のアクネ様の病気)・癌がある。EPAは人々が曝されているダイオキシンの複雑な混合物を「可能性が高い人間の発癌物質likely human carcinogen」と性質を示した。このことは、この混合物の個々の成分はEPAの発癌リスクアセスメント指針(1996、1999)の下で「人間の発癌物質」又は「可能性が高い人間の発癌物質」として性質が示されているという事実に基づく。特に、ダイオキシンで最も有毒なTCDDは、動物と人間での証拠の重さに基づきEPAの指針案の下で「人間の発癌物質」として、他のダイオキシンは「可能性が高い人間の発癌物質」として確認されている。
 
ダイオキシン被ばく
   大気放出後直接に又は、すでに環境中にあったダイオキシンを大気に戻す過程によって間接的に、大部分のダイオキシンは大気から沈着することによって生態学的食物連鎖に入ると、この再評価は提案した。一度ダイオキシンが環境に達すると、ダイオキシンは高度な残留性があり、動物組織中に蓄積することがある。ほとんどのダイオキシン被ばくは食事を通じて起こり、典型的な人のダイオキシン取り込みの95%以上は動物脂肪の食事摂取を通じて起こると、EPAは推定している。粒子及び蒸気の形で痕跡量のダイオキシンを含む空気の呼吸から、ダイオキシンを含む土壌を不注意に飲み込むことから、低レベルを含む空気や土壌・水との皮膚接触を通じた吸収から少量の被ばくが生じる。これらの経過はダイオキシンに対する一般人の広汎で低レベルの被ばくをもたらす・
 
   環境中のダイオキシンレベルは、EPAの規制抑制及び産業の行動後、1970年代以来大きく減少している。合理的に定量できる発生源からの放出に関するEPAの最良の推定は、主に自治体及び医療廃棄物焼却炉からの大気放出の減少のために、1987年と1995年との間で約75%減少したことを示しており、実質的な一層の減少が証明され続けている。家庭での廃棄物焼却のような制御されていない燃焼は、環境へのダイオキシン放出の定量可能な最大の発生源になると思われる。ダイオキシンの食事による摂取も減少していると思われる。
 
人間集団でのダイオキシン影響
   一般人集団の組織中に見られるダイオキシン量(「体負荷」として知られている)は、動物及び高度に被ばくした人間集団の研究に基づいて、悪影響がおこるかも知れないレベル近くに達している(係数10以内に)。潜在的危険にかかわらず、ダイオキシン様化合物が原因とされる病気の増加を明らかに示すものは、一般集団に現在存在しない。このことは、ダイオキシン被ばくが悪影響を起こさない事を示すのではなく、現在のデータ及び科学的手段の限界によるものであろう。癌について、EPAはダイオキシン被ばくに基づく一般人のリスクは、ダイオキシンに関連して癌を経験する機会増加が1000分の1を超すだろうと、EPAは推定している。発癌リスクのこの範囲は、この再評価に関するEPAの初期(1994年)草稿中で推定したより約10倍高い機会を示している。
 
子供と他の懸念されるグループ
   胎児及び幼児・子供は、急速な成長と発達のために、ダイオキシン被ばくに敏感かも知れない。しかし、子供への危険に関するデータは限られており、一般集団の子供がダイオキシンから悪影響を受けているかどうか不明である。母乳は乳児の重要なダイオキシン被ばく源であると思われるが、圧倒的な証拠はダイオキシンの潜在的な存在にもかかわらず、母乳保育の健康への長所を支持している。世界中で食品汚染事故の結果、職場を通じて、産業事故によって、高いレベルのダイオキシン類を含む異常に多い魚や肉・乳製品の消費から、他の集団は高いダイオキシン被ばくを経験している。ベトナム戦争中にダイオキシンで汚染された除草剤オレンジ剤に曝された米国空軍軍人のような一部の場合、ダイオキシン被ばくは健康への悪影響と関連している。
 
 
EPA 連絡先
Linda C. Tuxen, NCEA, ORD (8601D), Washington, DC 20460
E-Mail:tuxen.linda@epa.gov
Tel: 202-564-3332; FAX: 202-565-0090
 

【解説】
 米国環境保護庁は1991年からダイオキシンの健康影響及びダイオキシン被ばくを再評価してきた。1994年に再評価草案を完成させたが、産業界などの反対によって終了しなかった。2000年に再びこの情報シートに示されているダイオキシン再評価草案を発表した。個々ではダイオキシンの発癌性を1994年の草案と比較して10倍高くしていることが注目される。
 
原文:http://www.epa.gov/ncea/pdfs/dioxin/factsheets/dioxin_short2.pdf
 

掲示 2003.8.15 渡部和男
 
 
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