サルコイドーシスと農薬
 
サルコイドーシスと殺虫剤使用が関連する可能性が示された。
 
サルコイドーシスは肉芽が形成される疾患であり、一般に肺がもっとも影響を受けるが、眼や皮膚、リンパ腺、骨や関節、心臓、神経組織などほとんどの器官を侵す。罹患率は人口10万人に1-40人といわれる。[Newman et al. 1997] 米国では白人より黒人で罹患率が高く、重傷度も高いといわれる。[Newman et al. 1997] 
 
分かりやすいサルコイドーシスの説明は次を参考にして下さい:京都大学医学部附属病院呼吸器内科間質性肺疾患診療グループ、サルコイドーシスという病気を理解していただくために
 
 サルコイドーシスの原因ははっきりしないが、環境因子と遺伝因子が関連すると考えられている。環境因子としては、消防士や医療専門家・米軍・木材産業との関係や海岸や田舎に住むこと等があげられている。[see Newman et al. 2004]
 
ニューマンの研究グループは、サルコイドーシス発症に関する環境因子を探るため、706組のマッチした症例と対照を調べた。[see Needleman et al. 2004]
 
対照よりサルコイドーシス患者で多かった職業は、農業被雇用者・医師・鳥を育てる仕事・自動車製造での仕事。中学校教師などであった。
 
サルコイドーシス患者が対象より多く被ばくしたと思われるのは、殺虫剤被ばくと農薬を使用する産業への従事、カビに被ばくする職業、カビの臭いへの職業被ばく、家庭のセントラルエアコン使用などがあった。田舎や郊外・大都市での居住は関連を示さなかった。医師以外の医療従事者は有意な関連を示さなかった。
 
ニードルマンらの研究で患者が研究に参加する前及び診断の3年前のいつでも、農業及び産業での殺虫剤被ばくが最も強い正の関係を示した。家庭での殺虫剤使用とは有意な関連を示さなかった。彼らはピレスロイドと過敏性肺炎との関連を示す以前の報告があるので、殺虫剤使用とサルコイドーシスが関連するという仮説を立てていたが、殺虫剤の種類を調査していなかった。
 
この結果は殺虫剤とサルコイドーシスの関連を示しているが、殺虫剤を使用するような状況には別の要因が存在する可能性もあるので注意が必要である。
 
 
文献
 
Newman LS, Rose CS, Maire LA, Sarcoidosis. The New England Journal of Medicine. 336(17) 1224-12344 (1997).
 
Newman LS, Rose CS, Bresnitz EA, Rossman MD, Barnard J, Frederick, MF, Terrin ML, Weinberger SE, Moller DR, McLennan G, Hunninghake G, DePalo L, Baughman RP, Iannuzzi MC, Judson MA, Knatterud GL, Thompson BW, Teirstein AS, Yeager, Jr. H, Johns CJ, Rabin DL, Rybicki BA, Reuben Cherniack R, ACCESS Research Group, A case control etiologic study of sarcoidosis. Environmental and occupational risk factors. Americal Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 170 1224-1235 (2004).
 

掲示 2005年 1月 31日 渡部和男   メール