殺虫剤

 
キクザキイチゲ
 
 
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 殺虫剤は、昆虫を殺すことを目的とする薬剤である。殺虫剤などを散布することを「消毒する」というが、これは言葉の意味から言って誤りである。決して毒を消すわけではなく、毒物を環境に付け加える行為です。
 
殺虫剤は、英語でinsecticideと表します。ここで
  insecti-は昆虫を、-cideは殺すを意味します。
直訳すれば虫殺しとなります。
 
殺虫剤には天然のものが一部使われていますが、大半は人工化学物質です。ほとんどの農薬は昆虫の神経機能に影響を与えることによって昆虫を駆除します。その作用メカニズムは、神経伝達物質の代謝や受容体に影響するもの、神経の軸索に影響を与えるものが主体であるが、細胞内呼吸に影響を与えるロテノンのような物質もある。
 
昆虫と人間の神経系は、細胞より小さいレベルで見れば基本的には同じであるため、人間の神経系にも影響を及ぼす[1]。昆虫に強い影響を与え、人間など標的以外の生物に対する影響を軽減するために(選択制を高めるために)、昆虫と他の生物の微妙な差を標的とした殺虫剤開発が進められてきた。このねらいは部分的には成功したが、「全体としては、この試みは成功しているとはいいがたく、殺虫剤は依然としてわれわれのもっとも身近にある「毒」の1つである」[1]。
 
 また、昆虫のキチン合成を阻害する種類の薬剤も開発されている。
 
殺虫剤の作用部位 [1,2]
殺虫剤 作用機構・標的
有機燐
カーバメート
アセチルコリンエステラーゼ阻害作用
 
カルタップ アセチルコリン受容体
ベンゾエピン
γ-BHC
GABA受容体
 
ピレスロイド
DDT
神経線維のNaチャネル
 
キチン合成阻害剤 キチンの合成
 
 
殺虫剤の毒性と規制
 
 最近各国で殺虫剤を含む農薬の見直しが行われています。特に米国では1996年の食品品質保護法ができて以来、環境保護庁(EPA)では、発達中の子供を守るために有機燐系殺虫剤の全面的な見直しを進めています。
 
 発達中の子どもや胎児が農薬の影響に敏感であり、体重に比して多くの農薬を取り込む可能性があり、さらに子供はあらゆる所に触れ、手を良く口に入れるために、多量の農薬に曝される可能性があるために、特に影響を受けやすいといわれています。
 
 その一環として、1999年に2種類の有機燐系殺虫剤を、2000年6月にはクロルピリホスの使用を禁止あるいは大きく制限しています[3]。
 
 また、今までは個々の農薬を、別々に毒性評価してきましたが、同じ作用メカニズムを持つ農薬グループ全体の影響を評価する方向に向かっています[4]。
 
 
1.内藤裕史、中毒百科、南江堂、1991。
2.農薬便覧、農文協
3.Speeches & Testimony, Carol M. Browner, Administrator, U.S. Environmental Protection Agency, Dursban Announcement Remarks Prepared for Delivery June 8, 2000, Washington, D.C. http://www.epa.gov/epahome/speeches_0608.htm 
4.Office of Pesticide Programs, U.S. Environmental Protection AgencyPublic Comment Draft, Proposed Guidance on Cumulative Risk Assessment of Pesticide Chemicals That Have a Common Mechanism of Toxicity, June 22, 2000