エトフェンプロックス
(トレボン)

 
 
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まとめ
 
エトフェンプロックスは、急性毒性の少ない安全性の高いピレスロイド類似の殺虫剤である。最近広く使用されているが、全く無毒ではなく、発癌性や甲状腺ホルモンに対する影響も懸念されるので、使用に当たっては十分な注意が必要である。また、毒性試験は原体で行われているが、製剤とするためには不活性成分として乳剤や溶剤が使われている可能性があり、原体よりも溶剤や乳剤の毒性が強い場合もある。
 
 
別名・化学名・商品名 etofenprox、ethofenprox、トレボンと名前の付く農薬の成分。
 
 
急性毒性
 
半数致死量は測定できないほど大きい。
 
マウスに多量(半数致死量以下)のエトフェンプロックスを13週間投与した場合、昏睡状態や呼吸困難・やつれた様子などの臨床所見と、死亡率増加・生長の遅れ、赤血球やヘモグロビンの減少、肝臓の変性を伴う肝臓重量増加、尿細管の変性を伴う腎臓重量増加、リンパ系の変化が見られている。また、少ない投与量でも赤血球やヘモグロビンなどの減少が見られている。
 
ラットでは同様に多量に投与した場合、生長の遅れや甲状腺ホルモン減少、コレステロールやLDHなどの血液生化学の変化、肝臓重量増加、甲状腺重量の増加、血液凝固系などへの影響も見られている。
 
イヌの52週間投与実験では、多量に投与した場合、赤血球やヘモグロビン・全蛋白質・アルブミンの減少、肝臓と腎臓重量の増加が見られている。
 
 
長期投与実験・発癌実験
 
マウスへの長期投与実験(2年間)では、多量に投与すると、腎障害が原因であると考えられる死亡率の増加や生長の遅れ、赤血球やヘモグロビンなどの減少、血小板増加などが見られた。腎臓では尿細管*に障害が見られた。またより少ない投与量でも影響がでることが報告されている。
 
ラットでの長期投与実験(2年間)では、多量に投与すると生長減少や、血液凝固への影響、尿蛋白の増加、肝臓と腎臓・甲状腺の病変を伴う重量増加が見られた。この研究では甲状腺癌の発生が増加していることが確認された。
 
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この物質に関する毒物学的研究は、ピアレビュー論文として発表されておらず、毒性の詳細に関してはほとんど不明である。毒性が不明であるということは安全であることを意味しない。不明なものほど注意深く扱う必要がある。
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生体内分布
 
エトフェンプロックスを動物に投与すると、脂肪中に蓄積することが多い。ウシに大量に投与すると、エトフェンプロックスは投与後少なくとも42日間は牛乳から検出される。また、腎臓や肝臓・脂肪組織からも検出される。
 
 
参考
 
Anonymous, Evaluations of Pesticide Residues, ETOFENPROX (185), International Programme on Chemical Safety, Joint Meeting on Pesticide Residues (1993).
 
Janssen PJCM, Arentzen PH, den Tonkelaar EM, ETOFENPROX, International Programme on Chemical Safety, Joint Meeting on Pesticide Residues (1993).
 
Groshart Ch, Okkerman PC, Towards the establishment of a priority list of substances for further evaluation of their role in endocrine disruption: - preparation of a candidate list of substances as a basis for priority setting. Final report (incorporating corrigenda to final report dated 21 June 2000), Annex 8 Human health and wildlife relevant data on endocrine disruption included in the database on the remaining substances, EUROPEAN COMMISSION DG ENV (2000).
 
World Wildlife Fund, Hazards and Exposures Associated with DDT and Synthetic Pyrethroids used for Vector Control. (1999).
 

掲載 2001.10.4 渡部和男