2010.1 蘇原の早春
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トリフルラリン
 
別名 trifluralin
商品名:STトレファノサイド乳剤、トレファノサイド乳剤、武田トレファノサイド乳剤、トレファノサイド粒剤2.5、コンボラル(トリフルラリン・ペンディメタリン粉粒剤)、ACCコンボラル(トリフルラリン・ペンディメタリン粉粒剤)、DASコンボラル(トリフルラリン・ペンディメタリン粉粒剤)
系統:ジニトロアニリン系除草剤
作用機構: 細胞分裂時の紡錘糸形成を阻害すると思われる
 
毒性
 
急性毒性
致死量 経口 ラット >5000 mg/kg
ラット >2000 mg/kg
吸入 ラット >4.66 mg/L
眼刺激 ウサギ 弱い
皮膚刺激 ウサギ なし
皮膚感作 ウサギ 感作物質
急性遅延性神経毒性 ニワトリ(レグホン) >5000 mg/kg
 
短期暴露
眼を刺激する。
 
長期または反復暴露
 
ビーグル犬に1年間トリフルラリンを 0、0.75、2.4、40 mg/kg/日の量を経口投与した。NOELは2.4 mg/kg/日、LOELは40 mg/kg/日と、体重や赤血球、ヘモグロビンレベルの減少および血小板やメトヘモグロビン、コレステロール、トリグリセリドのレベルや肝重量増加から推定された
 
別の実験でビーグル犬にトリフルラリンを0、30、150、750 ppmを餌に混ぜ1年間経口投与した。 NOELは30 ppm(0.75 mg/kg/日)、LOELは150 ppm (3.75 mg/kg/日)と、肝重量とメトヘモグロビン増加から推定された。多量投与では体重増加現象や赤血球減少、メトヘモグロビン増加、血清脂質やトリグリセリド、コレステロール増加が見られた
 
 
内分泌系への影響
 
トリフルラリンは内分泌系に影響を及ぼす。
 
雌ヒツジにトリフルラリン (17.5 mg/ kg)を週2回消化管内に経口投与した場合、血清コルチゾール濃度はトリフルラリンとクロルピリホスにより増加した。血清インシュリン濃度はトリフルラリンを投与して雌ヒツジで顕著に増加し、エストラジオール血清濃度もトリフルラリン投与した雌ヒツジで有意に増加した。LHの平均血清濃度はトリフルラリンにより顕著に減少した
 
変異原性
 
植物で変異原性が確認されているが、動物では変異原性は証明されていない
 
 
発がん性
 
Fischer 344 ラットに0、813、3250、6500 ppmのトリフルラリンを混ぜた餌を2年間投与した。最も多量 (325 mg/kg/day)に投与した場合、雌で悪性および良性の膀胱がんの有意な増加が見られた。雄では全投与群で腎盂にがん発生の増加が見られた。その他に甲状腺濾胞細胞腫瘍(腺腫とがん腫との合計)の増加が雄ラットで見られた
 
他のSprague Dawley ラットやOsborne-Mendelラット、Wistarラットで行われた研究では発がん性が認められていない
 
マウスの研究では発がん性は確認されていない
 
以上の結果からU.S. EPAはトリフルラリンをグループC、人間に発がん性がある可能性が高い物質と分類した
 
国際がん研究機関 IARCはトリフルラリンをグループ3、ヒトに対する発がん性が分類できない物質と分類している
 
 
食品汚染
 
・2009年に福島県JA伊達みらいが出荷したシュンギクから基準の5倍のトリフルラリンが検出された。ほとんどが販売済みだったと見られている
 
・ ベトナムで養殖され、中国の工場で切り身に加工さたバサから基準の120倍のトリフルラリンが検出された
 
 
参考
1. 国際化学物質安全性カード、トリフルラリン、ICSC番号:0205、国際化学物質安全性カード(ICSC)日本語版、国立医薬品食品衛生研究所 (1994)。http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0205c.html(2010年2月19日現在)。
2. Rawlings NC, Cook SJ., Waldbillig D, .Effects of the pesticides carbofuran, chlorpyrifos, demethoate, lindane, triallate, trifurlain, 2,4,-D, and pentachlorophenol on the metablic endocrine and reproductive endrcrine system in ewes. J. Toxi. Env. Health Part A 54(1998)21-36.
3. Effect of Trifluralin on Mitosis, E. M. Lignowski EM and E. G. Scott FG, Weed Science, 20(1972) 267. http://www.jstor.org/pss/4041950.(2010年2月19日現在)
4. U.S. Environmental Protection agency, Office of Pesticide Programs, Special Review and Reregistration Division (1996), Reregistration Eligibility Deecision. Trifluralin, List A Case 0179. http://www.epa.gov/oppsrrd1/reregistration/REDs/0179.pdf.(2010年2月20日現在)
5. IARC, Triflurain, Occupational Exposures in Insecticide Application, and Some PesticidesMonographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans 53 (1991) 515-534. http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol53/mono53-22.pdf.(2010年2月20日現在)
6. 輸入魚切り身に基準超す除草剤、読売新聞 2010年2月18日
7. シュンギクから基準の5倍除草剤=福島、読売新聞 2009年2月1日
 

掲示 2010年2月20日 渡部和男