2013 年 8 月 16 日

 

有資格者各位

公益財団法人 日本卓球協会

ドーピングコントロール委員会

委員長 松尾 史朗

 

ドーピング検査陽性として処罰を受けた事例の紹介 

(病院受診時の不注意)

 

 


  本年5月に女子マラソンの選手がドーピング検査陽性と裁定され、1年間の資格停止処分を受けております。貧血治療で病院受診した際に(ドーピング検査の1か月前です)受けた注射に禁止薬物が含まれていました。病院受診時に自分がドーピング検査の対象となる選手であることを医者に告げなかったために生じた陽性事例ですが、そのことが選手側の明らかな不注意と判断されています。このようなことが生じないよう指導の徹底をお願い申し上げます。



T. 今回のドーピング陽性事例の概要
 この選手は女子マラソンの選手であり、オリンピック参加の可能性もあったトップ選手の一人でした。強度の貧血で病院を受診し、治療としてエリスロポイエチンの注射を受けています。この薬剤は、赤血球数を増やすホルモンであり、明らかな禁止物質です。この注射を受ける際、選手は医者にドーピング検査のことを告げてはおらず、また薬剤の名前、内容についても確認せずに注射を受けていました(ドーピング検査で陽性となるまで選手はこの薬剤の名前を知りませんでした)。

  日本ドーピング防止規律パネルは、以下の2点について選手に非があると裁定し、1年間の資格停止処分を下しました。
@ 診療の際、医師に自らがドーピング検査の対象となりうる選手であることを告げなかったこと
A 治療薬について、その内容を確認しなかったこと


 この選手の病院への受診はドーピング検査が行われたホノルルマラソンの1か月前ですが、その痕跡は1か月が経過しても残存しており、検査で禁止薬物の使用が見つかったのです。「試合参加まで日数があれば、どんな禁止物質を使用しても体外に排出されるので大丈夫」とは考えないでください。薬の種類によります。

 尚、本事例詳細についても日本アンチドーピング機構ホームページに掲載されております。
 

日本アンチドーピング機構ホームページを参照する




U. 日本卓球協会の対応
 日本卓球協会ドーピングコントロール委員会では、ナショナルチームに所属する選手に対して病院受診時に「担当医師にドーピング検査のことを話す」ことと「医師から処方を受けた際には直ちにドーピングコントロール委員会に連絡し、その内容を確認してもらう」ように指導しております。

 一般の選手につきましては以下のようにご対応、ご指導していただきたく思います。

1.病院受診時には自分がドーピング検査の対象となる可能性を持つ選手であることを必ず医師に伝えること
  ドーピング検査は全国レベルのどの大会でも行われ得るものです(国体、全日本、日本リーグなど)。大会参加者は全員ドーピング検査の対象となります。

2.薬の処方を受けた場合には、日本アンチドーピング機構、各都道府県薬剤師会などに相談し、禁止物質でないことを確認すること



問い合わせ先については、日本アンチドーピング機構ホームページに掲載されております。